醉玲珑

製作国: 中国
英題: Lost Love in Times
原作: 十四夜『醉玲珑』
監督: 林玉芬
出演者: リウ・シーシー(劉詩詩)、ウィリアム・チャン(陳偉霆)
放映日(中国): 2017年7月13日~7月28日(全56話)

西魏(535年 - 556年。中国の南北朝時代にあった北朝の国の一つ)の第四皇子である元凌(ウィリアム・チャン)は、誠実で高潔な性格の持ち主だったが、次期皇帝の座を狙う野心的な兄弟の陰謀にはめられ、実の父親である皇帝・元安から謀反者の罪を言い渡される。

そんな中、魔術に通じる巫族の聖巫女・凤卿尘文清(リウ・シーシー)は、傷を負って意識を失った元凌を介抱するうちに、皇子に思いを寄せるようになるが、巫族の一員としての立場をわきまえ、恋情を胸の内に秘めるのだった。彼女は元凌を皇位に就かせるために、第四皇子が失墜の憂き目に遭うたびに、時間を巻き戻すのだった……。

本作は中国系アメリカ人の作家・十四夜の小説『醉玲珑』をTVシリーズ化したものですが、実のところストーリーは大きく改変され、原作の面影をとどめているものは登場人物とタイムトラベルのテーマだけとなっています。この改変の背景には、中国政府の「タイムトラベル禁止令」があります。

原作では、現代の女性が西魏の時代にタイムスリップし、時の皇子と恋に落ちるという展開になっています。このストーリーは、2011年に大ヒットした中国のドラマ『宮廷女官 若曦(ジャクギ)』に相通じるものがあります。また、二つのドラマは、ヒロインを演じる女優(リウ・シーシー)が同じという点でも共通点があります。

『宮廷女官 若曦(ジャクギ)』が中国やアジア圏で大ヒットしたため、中国政府はタイムトラベルをテーマにしたドラマの制作を禁止することとなりました! というのも、このドラマを見た若い女性が自殺するという事件が起きたからです。その女性は、自殺することによって自分も過去にタイムトラベルし、時の皇子と恋に落ちることができると思ったようです(!!)。中国政府は、タイムトラベルによってドラマの中の歴史を改変することは、中国の豊かな歴史に対する冒涜に通じる、との見解を示しました。

しかしながら、本作『醉玲珑』は、そんな禁止令の抜け穴を突き、無事制作に漕ぎつくことに成功しました。ヒロインの魔術師が時間を巻き戻すという展開にしたので、歴史上の重要なできごとを変える必要がなくなったのです。結果的に、原作のストーリーが大幅に変えられたのです。

ドラマの内容については、豪華な衣装とセット、華麗な特殊撮影(SFX)など、お金がかけられた高予算のドラマであることが一目瞭然です。基本的に恋愛ものではありますが、国家の政権争いが背景になっているので、気骨があり、スケールが大きく、アクション(殺陣)シーンも豊富で、飽きさせません。中国のお得意芸・ワイヤーアクションもふんだんに取り入れられています。中国の雄大な風景も見どころの一つ。もともと美形の俳優たちがさらに美しく撮られていて、目を楽しませてくれます。製作者のこだわりと意気込みが感じられ、鋭い審美眼が全編に染み渡っています。この水準の高さは、ハリウッドのドラマに匹敵するかもしれません。

最近、日本のテレビ番組が面白くないという批判をよく耳にしますが、少なくともSFファンタジー系のTVドラマに関する限り、日本は中国に大きく水を開けられたと言わざるを得ません。

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