

喪失距離! この手記は私の途切れ途切れの記憶の中から、可能な限り思い出し、執筆させて頂いたものです。時折、分かりずらい書き方や、お見苦しい点があるかもしれませんが、先にお詫び申し上げます。
今から3年前にさかのぼります。深夜、仕事でトラックに荷物を満載し、神戸から奈良県まで運ぶ道中に、信じられない体験をしたのです。
予定の走行時間は2時間弱で、一般道から名阪道を利用して市内に抜け出るように出発しました。距離にして100キロない道のりでした。
ちょうどその日は本州に台風が上陸し、最悪のコンディションでした。台風が近畿地方に最接近し、雨足がきつくなったので、ワイパーをマックスにしました。目を凝らせば30メートル先が見える程度で、視界は最悪でした。
中阪和線を走行中、叩きつける様な雨足がなぜか白い霧に代わりました。次の瞬間、落雷の様な稲光がトラックに落ちて来て、頭が固い物に当たるような感覚に見舞われました。それと同時にトラックもろとも空中分解されるみたいな衝撃を覚え、目が眩んで何も見えなくなました。数秒の間、意識がないままハンドルを握って走っていたように思います。
数秒後に意識を取り戻した私は恐怖感に見舞われることになります。先ほどまで荒れに荒れていた雨足は嘘のように消え、不気味なまでに白かった霧もすっきり晴れ渡りました。そして私は、いつも走る景色とは全く違う街並みの中を走っていることに気がついたのです。
「これは! ここは一体どこなんだ?」
その時、自分は天理インターチェンジの手前を走っていたはずなのです。その道のりは何度も走っていたので、道を間違えるはずはありませんでした。ところが、わずか数秒の間に、トラックもろとも、そこから400キロ以上も離れた、山口県小野田市の小野田インター付近(山陽自動車道)まで飛ばされていたのでした!
どこをどのようにしてそんな所まで行ったのか、全く記憶はありませんでした。喪失距離とでも言っておきましょう。
当然のごとく、私のトラックが山陽自動車道に侵入した記録はなく、引き返そうとした私は不正侵入に問われました。この話を高速の係りの方にまともに聞き入れてもらうまでに、かなりの時間を要しました。
私が係りの方に真相を明かせたのには理由があります。私が尼崎インターから名阪道に入ったのは深夜の11時ごろでした(その事実は高速の自動精算システムの記録に残っていました)。山口県に瞬間移動したあと、地元に引き返すために小野田インターから降りた時間は午前1時ごろでした。尼崎インターから2時間足らずで山口県小野田インターまで移動することは無理です。というわけで、係りの方は、ありえないできごとが起きたことを理解し、私の話を信じてくれた次第です。
当時私の対応をしてくれた中西(仮名)さんは興味深いことを一つ話していました。「あなたで2人目だよ」と。「気づいたら全く違う場所にたどり着いていた」と主張した人は以前にもいたというのです。
私の話はこれで終わらさせて頂きますが、お見苦しい文面であったことを皆様に重ねてお詫び申し上げます。なぜ私が不可解な体験をしたのかは今も分かりません。2度と出くわしはしないと思います。
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