
これらの話の中には、まるで未来のできごとを予知したかのようなものがあります。このページではそんな話をいくつかご紹介します。
電子投票機の不正操作スキャンダル
2008年に放送された『ハロウィーン・スペシャルXIX』の中で、主人公のホーマーは電子投票機で大統領選挙の投票をしようとします。ところが、民主党のバラク・オバマに投票しようとすると、共和党のジョン・マケインに票が入ってしまうので、ホーマーは「八百長だ!」と怒ります。
これと似たようなできごとが2012年の大統領選で起こりました。オバマに投票しようとすると、共和党のミット・ロムニーに票が入ってしまうことが判明したので、この投票機は使用中止になりました。
マジックショーの最中、虎がマジシャンに襲いかかる

1993年に放送された『マージプッツン物語』に、有名なラスベガスのマジシャン「ジーグフリートとロイ」をパロった二人のキャラクター「ギュンターとエルンスト」が登場します。この話の中で、マジックショーの最中、白虎が二人に襲いかかります。
それから10年後の2003年、ジーグフリートとロイが公演中、本当に白虎がロイに襲いかかり、首に噛みつくという事件が起きましたが、幸いロイは命をとりとめました。アニメの中で、虎はまずロイに相当するキャラクターに襲いかかるので、製作者は誰が被害者になるのかも正確に予想したといえるでしょう。
ビートルズへのファンレター
1991年に放送された『マージは芸術家』の中で、マージ(ホーマーの妻)はビートルズのリンゴ・スターにファンレターとリンゴの肖像画を送ります。それから30年後にマージはリンゴからの返事を受け取ります。なぜそんなに時間がかかったかというと、リンゴは世界中から寄せられる多数のファンレターに一通、一通、丁寧に返事を書いているからです。ちなみに、上の動画ではリンゴ・スター本人がアテレコを担当しています。
それと似たようなできごとが現実に起きました。1963年、イギリスのバーバラさんとリンさんは、ビートルズのコンサートに行ったあと、オープンリール式のフィルムにビートルズへのメッセージを録画し、次のコンサート会場の壁の投函口にそのテープを投函しました。
それから数十年後、くだんのテープが蚤の市に現れ、地元の歴史家がそれを購入しました。そのテープを視聴した歴史家はBBC(英国国営放送)にテープを持ち込みました。BBCが番組の中で二人の女性に呼びかけた結果、バーバラさんとリンさんは再会を果たしたのみならず、ポール・マッカートニーから返事を受け取りました。それはテープを投函してから実に50年後のことでした。その手紙にはこんなメッセージが記されていました。
「やあ、リンダとバーバラ。ステキなテープをありがとう。ついに僕の手に渡ったよ。遅れてもやらないよりはましだよね。長い時を経た末に二人が再会できたと聞いて喜んでいるよ。これからも音楽を楽しんでね。ポールより愛をこめて。」
赤ちゃん言葉の通訳機

1992年に放送された『ハーブおじさんは発明家』で、ホーマーの腹違いの兄弟・ハーブは赤ちゃん言葉の通訳機を発明します。
2011年に、Cry Translator(泣き声通訳機)のスマートフォン用アプリが発売されました。これは赤ちゃんの泣き声を10秒聞き、声の調子・音量・音質・抑揚を分析して、赤ちゃんが何を言おうとしているのかを推測し、画面上に示すというもの。「お腹が空いている・眠い・ストレスを感じている・不愉快・退屈した」という五つの感情を聞き分けられるという触れ込みです。日本語版が iTunes で発売されています。しかしながら、利用者のレビューを読むと、五つ星中一つ星ばかりで、評判はよろしくないようです……。
ヒッグズ粒子を誰よりも早く発見?

ヒッグズ粒子はイギリス・エジンバラ大学のピーター・ヒッグスが提案した素粒子で、なぜ宇宙に存在するものにはどれも質量があるのかを、この粒子で説明できるとしています。ヒッグス粒子の存在は2012年7月に確認されました。
それよりもずっと前の1998年に放送された『発明は反省のパパ』の中で、ホーマーはエジソンのような発明家になることを志し、黒板に複雑な方程式を書きます。数学者のサイモン・シング博士によると、その方程式を解いていくとヒッグズ粒子の質量に近い数値が導き出されるとのことです。
同時多発テロが起きる日を予言?

1997年9月21日に放送された『ホーマーのニューヨーク物語』の中で、ホーマーは、駐車違反の罰金を払わなかったため、ニューヨークの世界貿易センタービルに行かなければならない羽目になります。でも、お金がないので、運賃がわずか9ドルの格安バスでニューヨークに行くことにします。
上の画像を見ると、9ドルの9が月で、その隣にある世界貿易センタービルは数字の11に見えます。あたかも製作者は9月11日に同時多発テロ事件が起きることを分かっていたかのようです。