今、ブラジルで、セテアレムという名の、並行世界を思わせる場所にさまよいこんだ人々の体験談が話題を巻き起こしています。そこは私たちの世界とは様相を異にする非常に奇妙な場所です。そこにいる人々は私たちの世界が存在することを知っており、よそ者に対して敵意を抱いているようです。というわけで、これからセテアレムに関する体験談をシリーズでご紹介していきます。今回はその第一弾となります。

これはブラジルのポルト・アレグレ(ブラジル南部の都市で、リオグランデ・ド・スル州の州都)に在住の男性、フリオさんの体験談です。

ブラジルの男性が体験した悪夢。ショッピングセンターのトイレから出てきたら、そこは異世界だった……

僕の名前はフリオ。ポルト・アレグレのフィットネスクラブで働いている。

6か月前に、僕はガールフレンドと連れ立って映画を見にいった。彼女とつきあうようになってから二年が過ぎたので、それを祝うために映画を見ることにしたのだ。僕たちは典型的なデートコースに従い、ショッピングセンターで夕食をとってから映画館に足を運んだ。

映画が終わり、ガールフレンドが「ハンドバッグを買ってきたいので、店のそばで待っていて」と言った。僕は同意し、雑誌売り場で立ち読みでもしながら時間をつぶすことにした。彼女は「すぐ戻ってくるね」と言って、店に向かった。

店の前に公衆トイレがあったので、この機に用を足すことにした。トイレの中は広く、4、5人の男がいた。小便器はすべてふさがっていたので、個室に入った。用を足す前に、携帯電話をベルトから取り外し、棚の上に置いておくことにした。

僕が個室の中にいた時間は精々二分かそこらだった。中にいた時、個室の外で子供たちが談笑する声が聞こえた。ところが、それから数秒後に個室から出てきたら、子供たちの姿はなかった。そしてトイレが様変わりしていることに気づいた。照明の色が白から黄に変わっており、トイレは強い黄色の光で照らし出されていた。鏡は小さくなっていた。トイレには人っ子一人いなかった。

手を洗ったのだが、水が熱すぎると感じた。手を拭くためのペーパータオルが見当たらなかったので、手を振って乾かすしかなかった。

トイレから出てきた時、気絶しそうになった。違うドアから新しい通路に出てしまったのかと思った。というか、少なくともそう信じようとしている僕がいた。

そこはショッピングセンターというより美術館のように見えた。とても古ぼけ、くたびれているような印象を受けた。照明はほの暗く、店は商品でごった返しているように見えた。どこに目をやっても非常に見苦しかった。

僕はもっと広い場所に向かって走っていった。そして自分が見知らぬ場所にきてしまったことを認識した。こんな光景は、テレビ番組でさえ、ついぞ見たことがなかった。

ゴミ箱と同じくらいの大きさの水槽がいたるところに設置されていた。各々の水槽の中には、一種の布というか、紫色の毛布のようなものが入っていて、それが水中をかき回していた。人々はその水槽のそばに行き、両手をかざして笑い声を上げた! その笑い声はまるで風邪で喉をやられた人が発するような耳障りなものだった。

僕はあたりをキョロキョロ見回してガールフレンドを探した。なじみのある顔を見て、いったい何が起きているのかを知りたくてたまらなかった。

そばを通り過ぎる人々は僕に注意を払うことはなかった。彼らは普通の人に見えたが、どこかおかしなところがあった。みんなが同じような顔に見えた。といっても、双子のようにまったく同じ顔つきだったわけではない。説明しにくいのだが、外国に旅行すると、人々は似たような顔つきをしているのに、それぞれ個性があるよね? あんな感じだった。

僕のそばでは、男が部品のようなものを売っていた。素朴な木造りのテーブルの上に、鉄と思われる黒の物体がいくつか並べられていた。それらの物体は、フック(かぎ)、馬蹄、歯車など、どれも奇妙な形をしていた。近寄ったら、男から「交換かね? それとも買うのかね?」と尋ねられた。僕は返事をしなかった。

7歳ぐらいの女の子が近づいてきて、黒のスプーンのように見える物体をつかみ上げ、母親に見せた。母親はテーブルに近づき、財布を取り出して代金を支払おうとした。女の子が僕に向かってスプーンを差し出したので、彼女の顔をよく見ることができた。普通の顔つきだったのだが、どこか非常に奇妙なところがあった。僕は不可解な恐怖感に襲われた。少女は意地悪そうな表情で僕を見つめていたのだ。

その時、男がこう言った。「ダメ、ダメ! この人は買わないよ。多分、彼はセテアレムの出身者じゃないからね。」

次の瞬間、母親が嫌悪感を露わにして僕を見た。母親は少女の手からスプーンを取り上げ、テーブルの上に戻して、娘を僕から遠ざけた。まるで僕が悪い病気にかかっているかのようだった。

僕はめまいを覚え、そばのベンチに腰を下ろした。そのベンチはショッピングセンターでよく見かけるような木造りのものだったが、僕たちの世界にあるベンチよりもずっと低く、一人しか座れなかった。

その時、大きな音が鳴った。次の瞬間、みんなが一斉に足を止めて天井を見上げた。その音は映画で耳にするような船の警笛を思わせた。音が止まったら、人々は活動を再開した。

この時、僕はガールフレンドや母親のことを考えていた。これは悪夢に違いない。どうしたらいいのか分からず立ち上がったら、激しいめまいに襲われ、陳列用のガラス箱にもたれかかった。その箱の中では十数羽の鳩が歩き回っていた! 何と鳩が売り出されていたのだ! 何羽かが飛び上がろうとしてガラスにぶつかった。僕は思わず悲鳴を上げてしまった。そのせいで僕はみんなの注目を集めるようになった。人々は僕を指さし、うめき声を上げた。

いたたまれなくなった僕はガールフレンドに電話してみることにした。ところが、ベルトに手を当てたら携帯がない! トイレに置き忘れたのだ。僕は通路を走っていき、トイレに入った。そこでは三人の男たちが床に腰をおろし、だべっていた。そのうちの一人は流しの下にいた。僕は彼らの上を飛び越えて個室に入った。

携帯はまだそこにあった。僕は扉に鍵をかけ、便座に腰をおろして、ガールフレンドに電話しようとしたのだが、つながらなかった。その時、子供たちの声が聞こえてきた。先ほど耳にした子供たちの声だ。

それから約10分後、誰かが僕の入っている個室の扉をノックした。そして少年が扉越しに話しかけてきた。「さっきお兄ちゃんがトイレに入るのを見たよ。お姉ちゃんがベンチに座って待ってるよ。体の具合でも悪いの?」と。

トイレから足を踏み出したら、そこは明るく、見慣れたショッピングセンターに戻っていた。ガールフレンドは僕の話を信じてくれなかった。しかし、僕がとても神経質になっていることは見て取ったようだ。それは僕の生涯の中で最悪の日だった。デートは台無しになってしまった。

あの日以来、ショッピングセンターには戻っていない。今、セラピー(心理療法)を受けることを真剣に検討している。セテアレム……あのような場所が存在しないことを神に祈るばかりだ。

夢の実現を引き寄せる最短ルート

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