歴史を通じて、人が謎の失踪を遂げるという事件が何度も起きている。中でも奇妙なのは、ほんの少し目を離したすきに人が忽然と消え失せ、二度と見つからないという事件である。今回はアメリカで起きた謎の失踪事件を二つご紹介する。

アメリカで起きた不可解な失踪事件

1959年4月。ブルース・キャンベルという名の男性が妻とともに長距離ドライブをしていた。マサチューセッツ州に住む夫婦は遠く離れた地に住む息子を訪ねるため、アメリカ大陸を横断していたのだ。

旅の途中で二人はイリノイ州・ジャクソンビルにあるモーテル(自動車旅行をする人のための宿泊所)に泊まることにした。一日中ドライブしていた二人は疲れ切っていたので、早々に床に就いた。

翌朝、キャンベル夫人が目覚めたら、ベッドに夫がいない。当初、彼女は夫が早起きしたのだろうと思い、特に心配はしなかった。だが、程なくしてキャンベル氏が部屋にいないことが明らかになった。

さらに奇妙なことに、彼の服とスーツケースは手付かずの状態で部屋の中に残っていた。ということは、パジャマ姿で外出したということだ。お金が抜き取られていない財布などの所持品も見つかった。

当局の広範な捜索にもかかわらず、ブルース・キャンベルは見つからなかった。


これと似た事件が1975年2月に起きている。ニュージャージー州に住んでいたジャクソン・ライトマーサ夫人はニューヨーク市に向かってドライブしていた。

ニューヨーク市のリンカーントンネルに入った時、結露によって窓が曇り視界不良になったので、車を路肩に停め、ジャクソンはフロントガラスの水分をふき取る作業に着手した。夫人は後部座席に移動し、後部ガラスを拭いた。

ジャクソンが妻の様子を見るために振り向いたら、そこに彼女の姿はなかった! 実のところ、夫人はトンネル内のどこにも見当たらなかった。ほんの数秒前には車内にいたのに。

夫の証言によると、当時トンネル内に他の車は走っておらず、不審な物音も一切しなかったという。わずかの間に姿をくらましたり、誘拐されたりすることは不可能だった。

警察の捜査の末、不正行為の証拠が見つからなかったので、ジャクソンには嫌疑がかけられなかった。マーサ・ライトの突然の失踪は謎に包まれたままである。

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