
原題:Quest for Love
監督:ラルフ・トーマス
脚本: テレンス・フィーリー
主演:ジョーン・コリンズ、トム・ベル
時間: 1時間27分
公開日(イギリス):1971年9月9日
あらすじ
科学者のコリン(トム・ベル)は、実験のデモンストレーション中に事故に遭い、平行世界に飛んでしまう。この別の現実では、第二次世界大戦は未だ起こっておらず、人類はまだ宇宙に旅立っていなかった。また、こちらの世界では、彼は科学者ではなく、著名な作家として贅沢な暮らしを送っていた。そして、彼は美しい女性、オッティリー(ジョーン・コリンズ)と結婚していた。コリンは瞬時に恋に落ちたが、こちらの世界のコリンは自分勝手で傲慢な男で、オッティリーを見捨て、別の女性と浮気していた……。
予告編
時代を先取りした異世界もの
ジョン・ウィンダム(1903年7月10日 – 1969年3月11日)はイギリスのSF作家で、『トリフィド時代』や『呪われた村』など人類への侵略を扱ったディストピア(暗黒未来)系の作品で知られている。私はこの種の陰鬱な世界観を好まないので、ウィンダムには注目していなかったのだが、最近、彼が平行世界をテーマにした作品も執筆していたことを知った。その小説を映画化したのが、この『愛を求めて』である。

普通の恋愛ものだったら退屈だが、この作品のようにSF的なテーマが絡んでくると、恋愛ものも俄然面白くなる。ハリウッドにしろ、日本のコミックにしろ、近年は異世界ものが大流行り。物理学者が平行世界の存在を確実視したこともあり、今日的な意義のあるテーマだ。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』などは作品賞を含む7部門でアカデミー賞を受賞した。そんな平行世界をテーマにしたSF恋愛小説を1961年に早々と出版したのだから、ジョン・ウィンダムは時代を先取りした作家だったと言えるだろう。
ヒロインを演じたジョーン・コリンズは、日本ではあまり知られていない(?)ようだが、イギリスでは知らない人がいないくらい有名な俳優。ただ、悪女役が回ってくることが多かったようで、そんなイメージが定着しているらしい。だが、この『愛を求めて』では好感度の高い女性を演じている。華があり、ヒロインとして申し分ない。

一方、ヒーロー役のトム・ベルは、正直あまりカリスマ性が感じられなかった。それに70年代のヘアスタイルがうっとおしく、散髪をする衝動に駆られてしまった(笑)!
最初の1時間くらいは恋愛関係を中心に物語が静かに展開するが、その後は旅客機が舞台になるなど、アクションたっぷりのエキサイティングな展開に。幕切れも満足のいくものだった。ただ、残念ながらこの作品は本国イギリスでさえヒットすることなく埋もれてしまったようで、日本版DVDは発売されていない。