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時間旅行TV&映画ゾーンドクター・フー→ドクター・フー シリーズ1

■シリーズ1の概要

1989年にBBCで『ドクター・フー』が最終回を迎えてから15年の歳月が流れました。そして2003年の9月26日、同番組が2005年に復活することが発表されました。番組の総指揮をとることになったのはイギリスのテレビ界でめきめき頭角を現したラッセル・T・デイヴィス

このドラマの大ファンである彼は、旧シリーズを引き継いで新シリーズの物語を展開していくことを決定しました。でも従来のファンのみならず、新しい世代にもアピールするようなドラマを作ることにしたのです。

2005年の3月29日に放映された第一話『ローズ』は一千万人を越える人々が視聴しました。これに勢いを得たBBCは、その年のクリスマス特番『クリスマスの侵略者』と、翌年のシリーズ2制作を発注しました。ところが、それからすぐに主演のクリストファー・エクルストンがたった一年でドクター役を降板することを発表、全英にショックウェーブが広がりました。

それにもかかわらず、新シリーズは評論家と視聴者の双方から高く評価され、関係者の期待を遥かに上回る大成功をおさめたのです。その年の6月にはすでにシリーズ3の制作が決まったほどでした。幾多の障害を乗り越えて実現した『(新)ドクター・フー』は華々しいスタートを切ったのです。


■9代目ドクター紹介

革ジャンをカジュアルに着こなした短髪の9代目ドクターは対照的な性格の持ち主でした。普段は底抜けに明るく、屈託のない微笑みを絶やしませんが、時に応じて彼は内向的になり、エイリアンとしての自分と人間との隔たりを鋭く意識します。彼はタイム・ウォー(時間戦争)の唯一の生き残り。この戦いによってダレックが絶滅したのですが、それと同時に仲間のタイムロードたちをすべて失ってしまったのでした。この戦いが9代目ドクターの心に暗い影を投げかけています。しかし、この戦いによって、宇宙を悪の手から守りたいという気持ちが今まで以上に強まったのです。

9代目ドクターを演じたのはクリストファー・エクルストン。彼は2005年の3月から2005年の6月までドクターを演じました。


1.マネキン・ウォーズ (2005年3月26日放送)

脚本:ラッセル・T・デイヴィス
監督:キース・ボウク

ロンドンの店に勤める女の子ローズ。彼女は母親と二人暮らしで、ボーイフレンドにも恵まれ、ごく普通の生活を送っている。ある日のこと、店のマネキンが動き出し、ローズに襲いかかる。この日から彼女の運命は急展開することに。あわやのところで彼女を救ったのは、ドクターと名乗る謎の男。ローズは彼の正体を聞き出そうとするが、男は取り付くしまもない。

そうこうするうちにショッピングセンターのマネキンが大挙して動き出し、買い物客を襲い始めた!それはプラスチックをコントロールする能力を持つエイリアン、ネスティーン意識体の仕業だった。ドクターはこの危機を救うことができるか?

ネスティーン意識体は遠い惑星からやってきました。元々このエイリアンはタコのように何本も足が生えた体を持っていたのですが、何千年も前に体を捨て、意識だけの存在になりました。プラスチックと相性がよく、マネキンをコントロールして、意のままに操る能力を持っています。ネスティーンは多数の心に分化し、惑星を征服、植民地化するために宇宙をさまよっています。このエイリアンは地球にやってくる前に、すでにいくつかの惑星を植民地化したと見られています。

『ドクター・フー』でネスティーン意識体が最初に登場したのは1970年にさかのぼります。詳しくはここをクリックしてください。


◆コンパニオン紹介

■ローズ・タイラー

ローズ・タイラーはロンドンのデパートに勤める女の子。彼女が幼いころ、父親のピートが交通事故で亡くなったので、市営アパートで母親のジャッキーと二人暮らしです。ロンドンの下町訛りがある彼女は庶民的で気さくな性格。ローズがドクターに出会ったのは2005年のことでした。当初、ドクターは彼女に関心を示しませんでしたが、彼女が持ち前の知恵と勇気を発揮して危機におちいっていたドクターを救ったことから、ターディスの中に招待され、彼と一緒に時空を駆け巡る冒険に出発します。

ローズを演じたのはビリー・パイパー。彼女は2005年の3月から2006年の7月までこの役を演じました。そして彼女は2008年に放映されたシリーズ4で復活しました。


■ミッキー・スミス

ミッキー・スミスはローズ・タイラーの元ボーイフレンドです。危機におちいったドクターとローズをいやいやながら何度か助けたあとで、ミッキーは遂にドクターの誘いに応じ、ターディスに乗ることを決意しました。

ミッキーを演じたのはノエル・クラーク。彼は2005年3月に放送された『ローズ』から2006年7月に放送された『永遠の別れ』までコンパニオンを務めました。彼は2008年7月に放送された『旅の終わり』と2010年1月に放送された『時の終わり』で復活しました。


2.地球最後の日 (2005年4月2日放送)

脚本:ラッセル・T・デイヴィス
監督:ユーロス・リン

晴れてドクターのアシスタントとして認められたローズは、「ターディス」と名づけられたタイムマシンに乗り込み、ドクターに連れられて50億年先の未来に飛び、「プラットフォーム・ワン」に到着する。そこでは太陽が膨張し、地球を飲み込もうとしていた。この光景を見物するため、宇宙のあちこちから奇妙きてれつなエイリアンたちが「プラットフォームワン」と名づけられた宇宙ステーションに集結する。だが、そこに恐ろしいクモのロボットが放たれ、宇宙ステーションを破壊し始める。殺人スパイダーを操っているのは何者?

プラットフォーム・ワンは観覧用の宇宙ステーション。50億年の未来で、地球の最期を一目見んと、宇宙で最も裕福で権力のある人々がここにやってきました。プラットフォーム・ワンは数機のスペース・シャトルを収納する設備があり、太陽の熱から機体を守るためにサン・シールドが備えつけられています。

このエピソードは非常にお金がかかったそうです。用意された特撮場面は全部で203。それを8週間で仕上げなければならなかったそう。映画『グラディエイター』の場合、特撮場面は100で、それを8ヶ月かけて仕上げたというから、その大変さがわかります。ミニ・ムービーと呼ぶのにふさわしいエピソードといえるでしょう。


3.にぎやかな死体 (2005年4月9日放送)

脚本:マーク・ゲイティス
監督:ユーロス・リン

ドクターに連れられ、ローズは1869年クリスマスイブのカーディフ市にやってくる。そこでは死者たちが夜な夜な不気味な青白い光を放ちながら街中を徘徊していた。ふたりは作家のチャールズ・ディケンズと組み、調査のため葬儀院におもむく。その結果、「ゲルス」と呼ばれるエイリアンの存在が浮かび上がる。

ゲルスはタイム・ウォー(時間戦争)で肉体を失ったヒューマノイドのエイリアンです。戦争中、何十億人ものゲルスはガス状の生物になりました。彼らはガス状の環境でないと生きられないという特徴があります。ゲルスは19世紀のカーディフ市の葬儀院に時空間の亀裂を見つけ、侵入してきました。ここは彼らにとって理想的な環境でした。なぜならガス管の中に潜み、ガス灯を通して姿を現せるからです。さらに彼らは死体が分解する過程で生じるガスの中にも生息しました。このエピソードで死体がゾンビのように歩き回っていた理由がここにあります。

この葬儀院に勤めていたグウィネス(イブ・マイルズ)は霊感の持ち主でした。そこでゲルスは彼女にコンタクトします。彼女は彼らを天使だと思いこんだのですが、その実は地球征服を狙う恐ろしいエイリアンだったのでした。ちなみに、イブ・マイルズは『秘密情報部トーチウッド』でグウェン役を務めています。ドラマの中で、グウェンはグウィネスの子孫だという設定になっています。


4.UFO ロンドンに墜落 (2005年4月16日放送)
5.宇宙大戦争の危機 (2005年4月23日放送)

脚本:ラッセル・T・デイヴィス
監督:キース・ボウク

現代のロンドンに戻ってきた二人。だが、そこでは恐ろしいエイリアン「スリジーン」の地球のっとり計画がひそかに進められていた。エイリアンたちは首相をはじめ重要な政治家を暗殺し、「人間のスーツ」を着て彼らに成りすますことで、イギリスの政治を牛耳り始めていたのだ。ドクターとローズは女性の国会議員、ハリエット・ジョーンズと力を合わせ、陰謀を阻止しようとするが……。

このエピソードでは、エイリアンの地球侵略を米英のイラク侵攻になぞらえ、痛烈に風刺しているので痛快です。また、「スリジーン」の異様な姿が見ものです。顔はかわいいのに、首から下がグロテスクで、その迫力に目を見張るばかり!しかもこのエイリアンの目、垂直にまばたきします。

スリジーンは身の丈が2メートル40センチほどあり、指には長い爪がはえています。彼らは「ラクサコリコファラパトリアス」星(←この星の名前を早口で三回続けて言ってみよう!)からやってきた犯罪者一家。故郷の星では死刑囚として指名手配されています。スリジーンは体を収縮させることができるので、人間の皮をスーツのように着て、その人になりすまします。ただ、収縮機能にも限度があるので、もっぱら太った人を狙う次第。スリジーンは酢酸に弱いので、彼らに襲われたときは酢をぶっかけるといいですよ!

 スリジーンの陰謀とは、地球で核戦争を起こし、惑星を巨大な原子炉に変えて、その残骸を宇宙船の燃料として売りつけ、一儲けすることでした!


6.ダーレク 孤独な魂 (2005年4月30日放送)

脚本:ロバート・シアマン
監督:ジョー・エイハーン

アメリカ、ユタ州の地下40階で、億万長者のヘンリー・ヴァン・スタテンが宇宙のあちこちから寄せ集めた遺品のコレクションを保存していた。収集品のひとつがドクターの宿敵ダーレクだった。鎖につながれたダーレックはタイム・ウォー(時間戦争)の唯一の生き残りで、息絶える寸前にあった。彼の避難信号をターディスが受信した結果、ドクターとローズはここにやってきたのだ。

瀕死のダーレクを見たローズは同情し、請われるまま、彼に触ってしまう。その結果、彼女のDNAが移され、ダーレックは復活、殺戮を開始した。どんな武器を使っても、ダーレクはびくともしない。ドクターはこの危機をどのようにして乗り切るか?


■アダム・ミッチェル

アダム・ミッチェルはコンピュータの天才で、アメリカ・ユタ州にある企業ジオコムテックスの経営者であるヘンリー・ヴァン・スタッテンに雇われていました。この会社のビル内でダーレクが復活しました。

アダムを演じたのはブルーノ・ラングリー。彼は2005年4月に放送された『ダーレク』から2005年5月に放送された『宇宙ステーションの悪魔』までコンパニオンを務めました。


7.宇宙ステーションの悪魔 (2005年5月7日放送)

脚本:ラッセル・T・デイヴィス
監督:ブライアン・グラント

ドクター、ローズ、そしてアダム(上記『ダーレク 孤独な魂』で億万長者のヴァン・スタットンに雇われていたイギリスの青年)は遠い未来の宇宙ステーション、「サテライト5」にやってくる。これはニュースの放送局で、地球での放送はこの「サテライト5」によって支配されていた。ところが、昇進し、宇宙ステーションの500階に向かった放送局員は二度と姿を見せないという。ドクターは地球人が何者かによって操られているのではないかという疑いを持つ……。

このエピソードに登場する「ジャグラフェス」はナメクジを巨大にしたような、見るもおぞましいエイリアン。彼は「サテライト5」の500階に住んでいます。彼はたくさんの熱を発しますが、生存するためには体を冷たく保たねばなりません。そこで発生した熱を下の階……499階に移しているのです。このジャグラフェスに仕える人間の召使がエディター(サイモン・ペッグ)。彼は主人の手足として「サテライト5」を管理しています。

エディターを演じたサイモン・ペッグはイギリスの人気コメディ俳優。彼が主演した映画に『ホット・ファズ』があります。彼は11代目ドクターの候補者の一人として挙げられていましたが、「うれしすぎるから」という理由で本人自ら、この役を断ったようです。残念!


8.父の思い出 (2005年5月14日放送)

脚本:ポール・コーネル
監督:ブライアン・グラント

ローズはドクターと共に1987年のロンドンにやってくる。この年、交通事故で亡くなった父、ピートの最期を見届けるためだ。ところが、死ぬ運命にあった父の命をローズが救ってしまったことから、時間の法則が破られ、とんでもない事態に!もはやドクターでさえこの危機を救うことはできない!さあ、どうする?

このエピソードに登場したリーパーは時間の流れに乱れが生じると、状況を正すためにタイム・ヴォーテックス(時間の渦)から現れる怪物です。ただしそのやり方は荒っぽい。元の状態に戻すのではなく、目に入ったものを片っ端から飲み込んでしまうという恐ろしい生き物です。


9.空っぽの少年 (2005年5月21日放送)
10.ドクターは踊る (2005年5月28日放送)

脚本:スティーブン・モファット
監督:ジェームス・ホーズ

二部作。1941年、ドイツ軍による大空襲が真っ盛りのロンドンで奇妙な疫病が蔓延していた。母の愛を受けずに死んだ子供の怨念が人々をゾンビに変えていたのだ!やがて、ガスマスク顔のゾンビ軍団がロンドンの街を徘徊し始める……。

このエピソードは2006年ヒューゴ賞の短編ドラマ賞に輝きました。ロンドン夜景の一大パノラマがすばらしい。その上空をドイツ軍の空爆機がひっきりなしに飛び交うシーンは圧巻です!このシーンを再現するため、特撮チームはロンドンの町並みを空中撮影し、それをコンピュータに取り込み、写真をつなぎ合わせたそうです!

この回から、アメリカ人のヒーロー、キャプテン・ジャック・ハークネス(ジョン・バローマン)が新コンパニオンとしてドクターとローズに加わりました。


■キャプテン・ジャック・ハークネス

キャプテン・ジャックは元々51世紀のタイム・エージェントだったのですが、彼の上司が二年間にわたる彼の記憶を消し去ってしまいました。そこで彼は上司に復讐するために時空を駆け巡る詐欺師になります。そんなときに彼はドクターに巡り会い、ヒーローに変身!彼はシリーズ1の終わりでダレックに殺されてしまいますが、生き返り、不死身の体になります。そして秘密情報部トーチウッドにスカウトされ、トーチウッドの長になります。

キャプテン・ジャックを演じているのはジョン・バロウマン。彼は2005年の5月から同年の6月までこの役を演じました。そして彼はシリーズ3と4で再登場しました。現在彼は『ドクター・フー』のスピンオフシリーズ『秘密情報部トーチウッド』で主演しています。なお、キャプテン・ジャックは冒険小説のヒーロー『ビグルズ』がモデルになっています。


11.悲しきスリジーン (2005年6月4日放送)

脚本:ラッセル・T・デイヴィス
監督:ジョー・エイハーン

一行は現代の英国カーディフ市にやってくる。1869年にゲルス・リフト(時空間の裂け目。上記のエピソード3参照)が閉じられたのだが、その跡からエネルギーが漏れているので、そのエネルギーをターディスの燃料として補給しようとしたのだ。ところが、そこでドクターはとっくの昔に死んだと思い込んでいた敵に遭遇する。同市に建設中の原子力発電所は地球を破壊しようとするエイリアン、スリジーンの陰謀だった!

このエピソードに登場するエイリアンの名前は「ブロン・フェルフォッチ・パッサミーア・デイ・スリジーン(!)」。彼女はMI5(実在するイギリスの諜報機関で、007の勤務先)のメンバー、マーガレット・ブレインを殺し、彼女になりすまします。エピソード4と5(上記参照)でスリジーン一族は地球破壊の目的を阻止され、殺されたのですが、彼女だけが一人生き残り、カーディフ市に逃亡、そこで市長になります。彼女はゲルス・リフトの上に原子力発電所を建設し、発電所を爆発させることによってリフトを開き、地球を破壊、彼女は一種の超次元サーフボードに乗って、地球から脱走しようとしていたのです。


12.バッド・ウルフ (2005年6月11日放送)
13.わかれ道 (2005年6月18日放送)

脚本:ラッセル・T・デイヴィス
監督:ジョー・エイハーン

ドクター、ローズとキャプテン・ジャックは、ラクサコリコファラパトリアス星から1333年の京都に向かっていた。ところが三人はその途中で気を失い、気がついたときは未来のテレビ局「ゲームステーション」にいた。そこでは危険なゲームショーが人気を博していた。ゲームに負けた人は容赦なく殺されてしまうのだ!

三人はそれぞれ違うゲームに参加せざるを得ない立場に追い込まれ、決死の覚悟でゲームに臨む。だが、その裏では、ドクターの宿敵ダーレクによる人類絶滅計画が着々と進行していたのだった……。

「ゲーム・ステーション」は地球の周りを回る宇宙ステーション。その前身は「サテライト5」です(上記エピソード7参照)。サテライト5はエイリアン「ジャグラフェス」によって操られていたので、ドクターは西暦20万年にそこを閉鎖します。ところが、閉鎖によって状況は好転するどころか、悪化してしまいました。それから100年後、サテライト5はゲーム・ステーションと名前を変え、バッド・ウルフ社によって運営されていました。この会社が制作するゲームショーでは、地球人が無作為に選ばれ、強制的にゲームに参加させられていました。ゲームに負けた人は容赦なく殺されてしまいます……というか、それは見せかけに過ぎず、実のところ人々はダーレクの宇宙船にテレポートされ、そこで新しいダレックに改造されていたのです!

このエピソードに登場する数々のゲームショーは『ビッグ・ブラザー』など、現在イギリスで人気のテレビ番組をパロったものです。

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