イギリス BBC（英国放送協会）で 2022年10月22日に放送されたエピソード『ドクターのパワー』で、13代目ドクター（ジョディ・ウィテカー）は、シュティ・ガトワ演じる新ドクターに生まれ変わることが予想されていたのですが、物語が終わりに近づいたとき、番狂わせで10代目ドクター（デイビッド・テナント）に生まれ変わるという予想外の展開となり、視聴者の度肝を抜きました。
なぜそんな意外な展開になったのか？ その理由が、2023年に放送された『ドクター・フー』60周年記念特番で明らかにされました。
60周年記念特番の概要
2021年8月、当時『ドクター・フー』で主役を務めていたジョディ・ウィテカーが13代目役から降板することが発表されました。それと時を同じくして、2018年から2022年までショーランナー（製作総指揮）を務めたクリス・チブノールも、その任から降りることが明らかになりました。彼の後任を務めることになったのはラッセル・T・デイヴィス。彼は『ドクター・フー』が長いお休み期間を経た後、2005年に復活した際、初代ショーランナーを務め、この番組を大成功に導いた功績を持つ人です。
ショーランナーの交代に伴い、『ドクター・フー』は大きな変化を遂げることになりました。もっとも大きな変化は、ウォルト・ディズニー・カンパニーが製作にかかわる運びになったこと。ディズニーの巨大な資金力が注入され、製作費は大幅にアップ、日本を含む世界中のディズニー・チャンネルで『ドクター・フー』が配信されることになりました。
１４代目ドクター
なぜ13代目は10代目に生まれ変わったのか？ その理由は、10代目ドクターがやり残した未決の案件を解決するためでした。未決の案件とは、10代目ドクターの最後のコンパニオン（旅仲間）ドナ・ノーブル（キャサリン・テイト）に関するものでした。2008年7月5日に放送されたエピソード『旅の終わり』で、ドナはタイムロードの知識を頭に詰め込まれます。ドナの脳は膨大な知識に圧倒され、急速に悪化し始めます。このままでは脳が焼け、死に至ってしまいます。そこで10代目は、ドナの嘆願もむなしく、ドクターに関するあらゆる知識をドナの脳から消去してしまいます。かくしてドナは一命をとりとめたものの、ドクターに関する記憶を一切失ってしまいます。2023年に放送された60周年記念特番において、この悲劇的な状況が解決することになりました。
14代目ドクターは、13代目と15代目の橋渡しの役割を務めるということで、ブリッジ・ドクターとも呼ばれています。BBCは、今回生まれ変わったドクターが、10代目ではなく、14代目ドクターであることを公式に確認しました。
14代目ドクターを演じたのはデイビッド・テナント。彼は『ドクターのパワー』（2022年10月）から『ザ・ギグル』まで14代目を務めました。なお、デイビッドさんの話によると、彼にとってこれが最後の『ドクター・フー』出演になるそうです。
【FOIL】マジックザギャザリング WHO JP 0003 10代目ドクター (日本語版 神話レア) ドクター・フー MTG
エピソード・ガイド
恵まれない子供たちのための慈善番組内で放送されたミニエピソード
放送日：2023年11月１7日
放送時間：4分34秒
脚本：ラッセル・T・デイヴィス
監督：ジェイミー・ドノヒュー
あらすじ
スカロ（ドクターの最大の敵・ダーレクが作り出された惑星）の研究所で、ダヴロスはカレド族（スカロ星に住む種族）の未来を永遠に変える機械をほぼ完成させた。しかし、いい名前がなかなか思いつかない。ダヴロスが命名を助手のカスタビリアン氏に託したとき、ドクターという予期せぬ訪問者がやって来て……
スター・ビースト
放送日：2023年11月１7日
放送時間：57分8秒
視聴者数（イギリス）：760万人
脚本：ラッセル・T・デイヴィス
監督：レイチェル・タラレイ
あらすじ
ターディスに乗って地球にやってきた14代目ドクター（デイビッド・テナント）は、すぐにドナ・ノーブル（キャサリン・テイト）、彼女の夫ショーン、そして娘ローズ（ヤズミン・フィニー）に遭遇する。ちょうどそのとき、宇宙船がロンドンの真ん中に墜落！ 宇宙船を目撃したドナがドクターの記憶を取り戻したら死を招くことは必至。そこでドクターは宇宙船を鉄鋼工場まで追跡する。そこでは、出動した UNIT （ユニット：悪意のあるエイリアンから地球を守る目的で設立された架空の組織）の兵士たちが非常に奇妙な行動をとっていた。一方、いたずら好きなエイリアン・ミープが宇宙船から逃げ出し、ローズのもとに避難していた。そんな中、エイリアンの戦士ラースがミープを狩るためにドナ宅に侵入してくる！ ドクターはドナ一家とミープを守ることができるのか？
ワイルド・ブルー・ヨンダー
放送日：2023年12月2日
放送時間：54分26秒
視聴者数（イギリス）：710万人
脚本：ラッセル・T・デイヴィス
監督：トム・キングズリー
あらすじ
制御不能に陥ったターディスは、宇宙の果てに存在するワームホールから現れた巨大な宇宙船内に到着する。ドクターとドナは、ターディスの自動修理機能を起動するため外に出るが、そのとたん、ターディスはどこかに行ってしまい、宇宙の果てに取り残された2人はショックを受ける。ターディスは宇宙船内で敵対的な存在を感知し、怯えて逃走したのだ。しかし、ドクターとドナが宇宙船内で見つけたのは、ほとんど動かない古代のロボットと、船体を叩く奇妙な音だけだった。船のコンピューターは他の生命兆候がないことを確認するが、にもかかわらず2人は自分たちの歪んだドッペルゲンガーに直面することになる。
ザ・ギグル
放送日：2023年12月9日
放送時間：61分03秒
視聴者数（イギリス）：680万人
脚本：ラッセル・T・デイヴィス
監督：チャンヤ・バットン
あらすじ
人類は狂気に陥った。突然、すべての人が「自分の意見だけが正しい」という絶対的な確信にとらわれてしまったのだ。ドクターとドナは、このヒステリー状態が、新しく打ち上げられた衛星と関係があることを突き止める。テレビ信号に不吉な笑い声が埋め込まれていたのだ。ドクターは犯人が宿敵・おもちゃ職人であることに気付く。ドクターとドナは、地球の未来を賭けて、おもちゃ職人が仕掛けた危険なゲームに参加しなければならない！