コンタクト 科学ゾーン 読書ゾーン 実話ゾーン ホームページ
時間旅行TV&映画ゾーンドクター・フー→ドクター・フー シリーズ3

■シリーズ3の概要

シリーズ3ではシリーズ2に引き続き、デイヴィッド・テナントがドクターを演じました。コンパニオンはローズ・タイラー(ビリー・パイパー)からマーサ・ジョーンズ(フリーマ・アジマン)にバトンタッチされました。

シリーズ1と2ではダレックとサイバーメンが登場しました。番組制作を取り仕切るプロデューサーのラッセル・T・デイヴィスは、シリーズ3で「マスター」を復活させることにしました。悪のタイムロード、マスターはダレックとサイバーメンと共に『ドクター・フー』の三大悪役ともいえる存在です。長いあいだ、デイヴィス氏はこの件を隠していました。インタビューで尋ねられたときは、「私はマスターのキャラクターが嫌いです」などと言って、はぐらかしていたのです。この作戦が功を奏し、シリーズの終わりのほうでマスターが登場したときは、視聴者は完全に不意をつかれました。そして長年来のファンを驚きと熱狂の渦に巻き込んだのです。


Xマス特番:ランアウェイ・ブライド (2006年12月25日放送)

脚本:ラッセル・T・デイヴィス
監督:ユーロス・リン

ローズ(ビリー・パイパー)と永遠の別れをしたドクター(デイヴィッド・テナント)だったが、それもつかの間、ターディス内に突然ウエディング・ドレス姿の見知らぬ女性が現れた。彼女の名前はドナ・ノーブル(キャサリン・テイト)。結婚式を挙げるために教会の中央通路を歩いていたら、不思議な光に包まれ、ターディス内にウォープしてしまったのだ。元気のいいドナは「あなたは誰?私を誘拐したの?」と息巻く。ドクターは訳がわからず、目を白黒させるばかり。

とにかく彼女を教会に送り戻さなければいけないということで、ドクターはドナと共にロンドンの教会に向かう。ところが、その途中でドナは何者かによって誘拐されてしまう。この些細な事件の裏にはエイリアンの恐ろしい陰謀が潜んでいたのだった。

2006年のクリスマス特番として放送されたエピソードです。ドナを演じているキャサリン・テイトは今イギリスで人気のコメディアンです。ドクターとの丁々発止のやりとりが楽しい。見所はハイウェイで繰り広げられる車とターディスのチェイス・シーン。蜘蛛のエイリアン、「女帝ラクノス」は、CGの映像ではなく、実物大の模型だそうです。道理でものすごい迫力!


1.スミス&ジョーンズ (2007年3月31日放送)

脚本:ラッセル・T・デイヴィス
監督:チャールズ・パーマー

宇宙の警察隊「ジャドゥーン」がロンドンの病院を丸ごとハイジャックし、月に移動させる。警察隊は「プラズマヴォーレ」という名の逃亡者を探していたのだ。プラズマヴォーレは恐ろしい吸血エイリアンであった。この病院に医学生のマーサ・ジョーンズ(フリーマ・アジマン)がいた。マーサは奇妙な患者と知り合いになる。その患者は自分を「ドクター」と名乗っていた。

降板したビリー・パイパーのあとを受け、フリーマ・アジマンが新しいコンパニオンとして登場!フリーマさんはシリーズ2の『幽霊の軍団』で端役として出演しています。それがきっかけとなって、彼女に白羽の矢が立ったのだそうです。「ジャドゥーン」はサイを思わせるエイリアンです。フリーマさんのインタビューによると、このジャドゥーン、とても精巧にできているので、テレビの画面で見て怖いのはもちろんのこと、すぐ目の前で見ても怖かったとのことでした。


■マーサ・ジョーンズ

マーサ・ジョーンズは、彼女自身、ドクター(医師)になることを目指して医大で勉学に励んでいるときにドクターに出会い、ターディスの乗員になることを決意します。治癒者としての素質を持った彼女は、ドクターと時空を旅する過程で様々な危機に遭遇しますが、持ち前の優れた知性と勇気を発揮してチャレンジに臨み、ドクターの右腕として大活躍します。

マーサを演じたのはフリーマ・アジマン。彼女は2007年の3月から2007年の6月までこの役を演じました。そして彼女は2008年に放映されたシリーズ4で復活、5本のエピソードに出演しました。また、『ドクター・フー』のスピンオフ・シリーズである『秘密情報部トーチウッド』のシリーズ2にもゲスト出演しています。


2.シェイクスピア・コード (2007年4月7日放送)

脚本:ガレス・ロバーツ
監督:チャールズ・パーマー

ドクターとマーサは1599年のロンドンにタイムトラベルし、ウィリアム・シェイクスピア(ディーン・レノックス・ケリー)に出会う。ところが、三人の魔女が有名な劇作家を操ろうとしていた。シェイクスピアに呪文入りの脚本を書かせ、その劇をグローブ座で上演させることで、魔の儀式を執り行い、この世に闇の世界を現出させようとしていたのだ。ドクターとマーサはシェイクスピアと協力して、魔女の企みを阻止することができるか?

『ドクター・フー』ではシリーズごとに歴史上の有名人物を登場させています。シリーズ1ではチャールズ・ディケンズが、シリーズ2ではヴィクトリア女王が登場しました。そして今回、シェイクスピアの出番と相成ったわけです。16世紀のロンドンが見事に再現されていて目を楽しませてくれます。おそらく、綿密な時代考証がおこなわれたのでしょう。


3.グリドロック (2007年4月14日放送)

脚本:ラッセル・T・デイヴィス
監督:リチャード・クラーク

ドクターとマーサは西暦50億43年のニューアースにタイムトラベルする。到着早々マーサが誘拐され、空中ハイウェイに連れ去られてしまう。ドクターはマーサを探すためハイウェイに乗り込むが、そこは救いようがないほど渋滞しており、ひどい人は何十年も道路に囚われていた。しかも、ハイウェイの下に恐ろしい怪物「マクラ」が潜んでいるという噂なのだ……。

ニューアースとは、地球が滅びてから人類が新たに見つけた新しい惑星のこと。シリーズ2の第一回のエピソード『新地球』で、ドクターとローズがこの惑星にある、猫族が運営する邪悪な病院を訪れました。今回の『グリドロック』はそれから20年後のニューアースの都市、ニュー・ニューヨーク(新しいニューヨーク)が舞台になっています。これは『ドクター・フー』史上、最も遠い未来だそうです。

猫族が戻ってきます。今回はイギリスで大人気のコメディアン、アーダン・オハンロンが精巧な猫のメークで登場。前回のチューダー王朝の英国から一転し、今回の舞台は超未来都市や空中ハイウェイ。作者のラッセル・T・デイヴィス氏によると、これは『ドクター・フー』史上、最もCGを使ったエピソードだそうです。


4.マンハッタンのダーレク (2007年4月21日放送)
5.ダーレクの変化 (2007年4月28日放送)

脚本:ヘレン・レイナー
監督:ジェームス・ストロング

ドクターとマーサは1930年代のニューヨークにタイムトラベルする。折しもアメリカは大恐慌の真っ最中。公園では多数のホームレスの人々がテントを張って生活しており、下水道では奇怪な豚男が暗躍していた。その一方で、エンパイア・ステート・ビル(当時、世界で最も高かったビル)の建設が終わりに近づいていた。ところがそのエンパイア・ステート・ビルの最上階で、ドクターの最大の敵、ダーレクが恐ろしい計画を進めていた!


6.ラザラス・エクスペリメント (2007年5月5日放送)

脚本:スティーヴン・グリーンホーン
監督:リチャード・クラーク

ドクターとマーサは現代のロンドンに戻ってくる。そこでは76歳の科学者リチャード・ラザラス教授が「人間の本質を変える」実験に臨もうとしていた。マーサの姉ティッシュはラザラス教授の広報担当。それでドクターとマーサは実験の公開を兼ねたパーティーに出席することに。華やかなパーティー会場でゲストが見守る中、機械の中に入っていく老人。数分後に出てきたとき、彼は若者に変身していた!

ラザラス教授は「若返りの機械」を発明したのである。しかもその機械を一般向けに売り出して金儲けを企んでいたのだった。ところが栄光は長続きしなかった。ほどなくしてラザラス教授のDNAに異変が生じ、体がきしみ始めたのだ……。

CGによるモンスターの造形がお見事!その姿は目を見張るほどスゴイ! このモンスターが廊下や、壁や、天井を猛スピードで走る場面は大迫力でした。ラザラス教授の「若返る前」と「若返った後」については、それぞれ別の俳優が演じたのだろうと思い込んでいたのですが、同じ俳優が演じたと聞いてビックリ! 老けメークは真に迫っていました。

なお、ラザラス教授を演じたマーク・ガティスさんは俳優のみならず脚本家でもあります。シリーズ1の『にぎやかな死体』とシリーズ2の『テレビの中に住む女』の脚本は彼の筆によるものです。彼は筋金入りの『ドクター』ファンだそうで、俳優として出演が決まったときはうれしくて一睡もできなかったそうです。


7.42 (2007年5月19日放送)

脚本:クリス・チブノール
監督:グレーム・ハーパー

ドクターとマーサを乗せたターディスは未来の宇宙船の中に到着する。到着早々、ふたりは宇宙船の乗組員からとんでもないことを知らされる。エンジンが故障したので、宇宙船は42分後に太陽に突入する運命にあるというのだ。

しかし、エンジンを修理したくても、エンジン室は多数のドアによって保護されており、ドアを開けるためにはパスワードが必要。そのパスワードはクイズ形式になっており、正しい答えを入力するとドアが開くようになっていた。一回でも答えを間違えるとすべてはパーに。しかも、乗組員の一人が謎の生命体に乗り移られ、仲間を殺し始めた。かくして生存をかけて時間との競争が始まった!

これはアメリカの人気テレビ番組『24』と同じ形式をとっています。つまり、ドラマがリアルタイムで進行するのです。ドラマの進行時間(42分)と現実の時間が一致するわけです。放送時間は45分ですが、ドラマが始まってから3分後にリアルタイムがスタートします。タイトルの『42』は『24』を入れ替えたものだと思われます。このエピソードはかなりテンションが高く、初めから終わりまで危機また危機の連続で、ハラハラドキドキさせられました。

前回のエピソード『ラザラス・エクスペリメント』から、ミスター・サクソンなる謎の人物がちらほらと現れ始め、危機感を煽っています。というか、今のところサクソン氏本人はまだ顔を見せておらず、彼の手下たちがドクターを落とすため、数々の工作を仕掛けているのです。


8.ヒューマン・ネイチャー (2007年5月26日放送)
9.ファミリー・オブ・ブラッド (2007年6月2日放送)

脚本:ポール・コーネル
監督:チャールズ・パーマー

ドクターは「ファミリー」という絶滅寸前のエイリアンの種族に狙われる。このエイリアンは遠くからドクターを感知することができるため、ドクターは細胞を入れ替え、三ヶ月だけ人間になることを決意する。人間になったら、エイリアンはドクターを探し出すことができない。三ヶ月が経過するまでに、エイリアンは死滅しているはずだ。

それから二ヵ月後、ドクターはジョン・スミスという名前の人間に変身し、1912年のイギリスの男子高校で教師として静かな日々を送っていた。彼は自分がドクターであることを忘れてしまっている。だが、ドクターとしての記憶は残っており、ノートに宇宙を駆け巡る冒険談の数々をイラスト入りで記すことを趣味にしていた。マーサはジョン・スミス家の家政婦におさまり、ドクターを見守っていたのだった。そうこうするうちに、「ファミリー」が地球に到着した。彼らは人間の体をのっとってドクターを探し始める……。

二部作。もともと『ヒューマン・ネイチャー』は『ドクター・フー』の小説として世に出ましたが、それがテレビドラマ化されました。

これは多数の人々から絶賛された感動編です。第一次大戦を一年後に控えたイギリスの田舎の生活が深みのある照明とリッチな映像美で描かれています。タイトルに「ファミリー」という単語が入っているように、家族愛がテーマになっています。自分たちの種を絶滅させまいとするエイリアンと、家族を持ちたくても持てないドクターの孤独と悲哀を平行して描いており、単なるSFアクションにとどまらない、厚みのある作品になりました。


10.ブリンク (2007年6月9日放送)

脚本:スティーヴン・モファット
監督:ヘティ・マクドナルド

現代のロンドンに住む若い女性、サリー・スパローが友達と一緒に廃屋を探検していたところ、壁紙の背後に彼女宛のメッセージが隠されているのが見つかった。そのメッセージは1969年に書かれたもので、差出人は「ドクター」だった。しかも、突如として友達が行方不明になってしまう。友達は1920年にタイムスリップしてしまったのだ。廃屋の庭に立つ不気味な「嘆き悲しむエンジェル」の像が事件の謎を解く鍵を握っているようだ……。

このエピソードは2008年ヒューゴ賞の短編ドラマ賞に輝きました。脚本家のスティーブ・モファットは三年連続でこの賞を受けたことになります。

このエピソードでは、廃屋の荒れ果てた庭にたたずむ「嘆き悲しむエンジェル」の像がポイントになっています。普通、天使は「善」の象徴なので、その天使が両手に顔を埋めて忍び泣く様はいかにも異様。その天使が顔を上げると……?天使の純粋なイメージを逆手にとった巧妙な物語です。

ドクターによると、このエンジェルの前ではまばたきをしてはならないそう。それはなぜ? まばたきをしたら何が起こるのか? まばたきをするなと言われても、それはどだい無理な話ですよね。人間はまばたきをするようにできているのですから。この設定から息詰まるようなサスペンスが生まれます!


11.ユートピア (2007年6月16日放送)

脚本:ラッセル・T・デイヴィス
監督:グレーム・ハーパー

ドクターとマーサを乗せたターディスは現代のカーディフに到着した。カーディフに本部を置く「トーチウッド」の長、キャプテン・ジャック(ジョン・バローマン)は、これを機にターディスに飛び乗った。そのためターディスが誤作動し、宇宙の果てにウォープしてしまう。

一行が到着した惑星は荒廃しており、凶暴化した新人類が人々を脅かしていた。そこで年長の教授ヤナ(デレック・ジャコビ)が宇宙船を完成させるため、日々努力していた。教授は人々を宇宙船に乗せ、死にいく星の彼方にあるといわれる星ユートピアに避難させようとしていたのだ。ところが……。

これは三部作の第一回です。ゲストスターのデレック・ジャコビは英国で名の知れた俳優です。彼はロイヤル・シェイクスピア劇団のメンバーで、サー(卿)の称号を与えられた人です。『ドクター・フー』のスタッフはジャコビ氏が出演に同意したので、大喜びだったそうです。更に、BBCのもうひとつのタイムトラベル・ドラマ『ライフ・オン・マーズ』の主演俳優ジョン・シムが重要な役で出演しています。これだけ役者がそろえば、面白くならないはずはありません!


12.ザ・サウンド・オブ・ドラム (2007年5月26日放送)
13.タイムロードの最期 (2007年6月2日放送)

脚本:ラッセル・T・デイヴィス
監督:コリン・ティーグ

ドクター、マーサと、キャプテン・ジャックは現代の地球に戻ってくる。ちょうどそのころ、政治家ハロルド・サクソンを装ったマスター(ジョン・シム)が人々をマインド・コントロールし、イギリスの首相にのし上がっていた。

マスターはイギリスがエイリアンと人類史上初のコンタクトに成功したことを世界に向けて発表する。このエイリアンは「トクラフェイン」という名前だった。マスターはトクラフェインが善良なエイリアンだと主張するが、事実はその逆だった。更にマスターはドクターが凶悪な犯罪者だと宣言し、指名手配する。今や世界は絶滅の危機に瀕した……。

『ドクター・フー』はもともとスケールの大きなドラマですが、最後の二回はフィナーレだけあり、普段のエピソードに輪をかけてテンションが上がりました。アメリカ大統領(たぶんブッシュがモデル)が登場したり、ドクターの故郷である、ありし日のギャリフレイ星の様子が回想シーンで流れたりして、壮大な雰囲気です。

『ドクター・フー』でマスターが最初に登場したのは1971年にさかのぼります。詳しくはここをクリックしてください。


番外編:インフィニット・クエスト (2007年6月7日放送)

脚本:ギャリー・ラッセル
監督:アラン・バーンズ

ドクターとマーサ・ジョーンズは、宇宙一の専制君主・バルサザーに対抗して、伝説の宇宙船「ジ・インフィニット」を求め、ヒントを寄せ集めながら時空を駆け巡る。俗説によれば、その宇宙船はどんな者の願いでも叶えてくれるという……。

Doctor Who: Complete Third Season [DVD] [Import]

Doctor Who: The Infinite Quest [DVD] [Import]


ドクターフーホームページ | シリーズ1 | 2 | 3 | 4 | 2009年特番 | 5 | 6 | 7前篇 | 7後篇


シリーズ2
シリーズ3
シリーズ4
2009年特番