時間旅行TV&映画ゾーンドクター・フー→シリーズ8

シリーズ8の概要

2013年5月18日、BBC は『ドクター・フー』の新シリーズが2014年に放送されることを確認しました。

これまでプロデューサーを務めていたマーカス・ウィルソンが辞任したため、元プロデューサーであるピーター・ベネットとニッキ・ウィルソンが復帰しました。

2014年1月7日、シリーズ8の製作が始まり、12代目の時代が正式に幕を開けました。

12代目ドクター紹介

12代目ドクターを演じるのは、55歳のスコットランド出身の俳優、ピーター・カパルディです。

この配役の発表はイギリスの BBC で2013年8月4日に放送されたテレビ番組『ドクター・フー・ライブ:ザ・ネクスト・ドクター』で発表されました。この番組はアメリカ、オーストラリア、カナダで同時放送されました。

生涯に渡り『ドクター・フー』のファンであるピーターさんは『ポンペイ最後の日』でゲスト出演したほか、『秘密情報部トーチウッド』シリーズ3『地球の子供たち』でジョン・フロビシャーの役を演じました。

彼は1994年にフランツ・カフカの『すばらしき哉人生』を短編映画化し、アカデミー賞と英国アカデミー賞を受賞しました。

シリーズ8 エピソード・ガイド

1.Deep Breath(深呼吸)

脚本:スティーヴン・モファット
監督:ベン・ウィートリー
放送日(イギリス):2014年8月23日
視聴者数(イギリス):920万人

生まれ変わったばかりのドクターとクララはビクトリア時代のロンドンに到着、そこでヴァストラ、ジェニー、ストラックスの三人組に再会する。

クララは大きな変貌を遂げたドクターを受け入れることができないでいた。一方、ドクターは連続殺人事件を調査するために、一人で外に飛び出していく。

やがて二人は新聞に掲載された謎のメッセージに引かれてレストランで合流する。レストランの客たちやウェイターは、一見したところ普通の人間に見えたのだが、彼らのふるまいにはどこか奇妙なところがあった。

ドクターとクララはレストランの地下に捕らえられ、逃げ場を失ってしまう。生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされたクララは、新しいドクターを信頼し、この危機を逃れることができるか?


2.Into The Dalek(ダーレクの中へ)

脚本:フィル・フォード
監督:ベン・ウィートリー
放送日(イギリス):2014年8月30日
視聴者数(イギリス):730万人

宇宙の紛争区域のど真ん中に「アリストテレス」と名づけられた秘密基地があった。そこに駐在する兵士たちが一体のダーレクを捕獲した。

そのダーレクは極度に傷を負っており、他のダーレクたちを悪と見なすようになっていた。そして、ダーレク軍団を滅ぼすために人類に手を貸すことを惜しまないという。

アリストテレスに到着したドクターとクララは特殊な装置でミニチュア化され、3人の兵士とともにダーレクの体内に入っていく。彼らの目的は、このダーレクに何が起こったかを突きとめることだった。

だが、「善良なダーレク」などというものは本当に存在するのだろうか? その疑問に答えを出す過程で、ドクターは自分自身の心に潜む憎悪に直面しなければならない。

新コンパニオン紹介

ダニー・ピンク

彼は子供のころルパートという名前だったのですが、それが気に食わなかったので、大人になってからダニーに改名しました。彼は軍隊に入り、5年に渡り、イギリスおよびアフガニスタンで軍事活動や救援活動に従事しました。しかし、「いやな目」にあったので、軍隊を辞め、コールヒル高校の数学教師になり、そこでクララに出会い、つきあうようになりました。

ダニー・ピンクを演じるのはイギリスの俳優、サミュエル・アンダーソンです。彼のその他の出演作にはイギリス映画『ヒストリーボーイズ』(2006)があります。

3.Robot Of Sherwood(シャーウッドの森のロボット)

脚本:マーク・ゲイティス
監督:ポール・マーフィー
放送日(イギリス):2014年9月6日
視聴者数(イギリス):730万人

クララはロビン・フッドに会いにいくことを望むが、ドクターは乗り気がしない。というのも、ドクターはロビン・フッドが架空の人物だと信じているからだ。ところが、1190年のシャーウッドの森に着いたとたん、二人はアウトロー集団の首領、ロビン・フッドと彼の「愉快な仲間たち」に出くわす。

その地域は「ノッティンガムの代官」によって抑圧されていた。代官は金(ゴールド)を取り立て、農民を誘拐して、強制労働にあたらせていた。

代官の配下にある騎士たちは実のところロボットで、城は宇宙船であることが判明する。ドクターは代官を倒すためにロビンと力を合わせるが、その一方でロビンの正体に疑いを抱くようになる。果してドクターの疑惑は的を射ているのか?

このエピソードではTVシリーズ『ダ・ヴィンチと禁断の謎』でレオナルド・ダ・ヴィンチを演じているトム・ライリーがロビン・フッドの役でゲスト出演しました。

また、『プライミーバル』でおなじみのベン・ミラーが悪役の代官を演じました。


4.Listen(聞いて)

脚本:スティーヴン・モファット
監督:ダグラス・マッキノン
放送日(イギリス):2014年9月13日
視聴者数(イギリス):700万人

他の生物から我が身を隠すだけのために進化した生物はいるのだろうか? 誰もその存在を知らない生物が? ベッドの下にいるモンスターや、独り言をつぶやく時にそっと耳を傾けているのはそんな生物なのか?

ドクターはそれらの疑問に答えを出すために、クララとターディスのテレパシー回路をつないだ。こうすればクララの時間線に沿って旅をすることができる。

だが、クララは高校教師の同僚、ダニー・ピンクとの最初のデートが散々な結果に終わったので、そのことで頭がいっぱいだった。ドクターとクララは、90年代半ばの孤児院から、時の終わりに捕らえられ立ち往生している未来人のタイムカプセルに旅をすることに……


5.Time Heist(時間強盗)

脚本:スティーヴ・トンプソン
監督:ダグラス・マッキノン
放送日(イギリス):2014年9月20日
視聴者数(イギリス):700万人

ドクターとクララは宇宙一警戒の厳しい「カラブラクソス銀行」に押し入る一味にさせられる。だが、彼らの短期的な記憶は抹消されており、銀行に押し入る目的が不明だった。また、この計画の黒幕「アーキテクト(直訳:建築家)」の正体も不明だった。

さらに悪いことに、この銀行では数々の最先端の安全対策がとられていた。銀行の幹部である冷酷な Ms(ミズ)デルフォックス(キーリー・ホーズ)は「テラー」と呼ばれる生き物を管理していた。この生き物は人の罪悪感を感知し、脳を液体化する能力を持っていた。

果たしてドクターたちは、多数の危機を回避しながら、目的も分からない使命を完遂することができるか?


6.The Caretaker(管理人)

脚本:ガレス・ロバーツ
監督:ポール・マーフィー
放送日(イギリス):2014年9月27日
視聴者数(イギリス):680万人

「スコヴォックス・ブリッツァー」という名のエイリアンの戦闘マシンがロンドン東部にいることをつきとめたドクターは、コンパニオンのクララが教鞭をとるコール・ヒル学校の管理人になりすまして調査を始める。

そんな中、ドクターは、クララが同校の数学教師であるダニー・ピンクとつきあっていることを知る。ところが、ダニーがエイリアンの危機を回避しようとして手出しをしたため、ドクターの計画が台無しになり、ドクターは機嫌を損ねる。そしてクララはドクターの正体をダニーに明かさざるを得なくなる。そうこうしているうちに、スコヴォックス・ブリッツァーが地球を破壊する日は刻一刻と迫っていた……。


7.Kill The Moon(月を殺せ)

脚本:ピーター・ハーネス
監督:ポール・ウィルムズハースト
放送日(イギリス):2014年10月4日
視聴者数(イギリス):690万人

ドクターはクララとコートニー(クララが教鞭をとる学校の生徒)を2049年の月に連れていく。だが、月面で奇妙なことが起こっていた。重力に異変が生じ、地震活動が起こっていたのだ。そして、巨大なクモを思わせる生物が物陰に潜み、人間に襲いかかっていた。

そこに地球から派遣団がやってくる。月の異変によって地球が多大な被害をこうむったので、核兵器で月を破壊するのが彼らの使命だった。ドクターが関わり合いになることを拒否したので、クララは人類の命運を左右する重大な決断を下さなければならない羽目になる……。

このエピソードはカナリー諸島のランサローテ島で撮影されました。この島は1984年の『炎の惑星』のロケ地でもありました。


8.Mummy On The Orient Express(オリエント急行のミイラ)

脚本:ジェイミー・マシソン
監督:ポール・ウィルムズハースト
放送日(イギリス):2014年10月11日
視聴者数(イギリス):710万人

オリエント急行が未来の宇宙客車として復活した。しかし、ドクターとクララが乗車したら、列車は「フォートールド」と呼ばれる伝説のミイラにとりつかれていることが判明した。そのミイラは犠牲者を殺す66秒前に姿を現すのだが、なぜかミイラの姿は犠牲者にしか見えなかった。死者の数が増えるにつれて、ドクターは誰かが非常に危険なゲームを展開していることに気づく……。

このエピソードには、フォクシーズ(イギリスのポップスター)が特別ゲスト出演し、ジャズ風にアレンジされたクイーンの『ドント・ストップ・ミー・ナウ』を歌いました。また、フランク・スキナー(イギリスのコメディアン)が列車のエンジニアの役でゲスト出演しました。同氏は『ドクター・フー』のファンだそうです。


9.Flatline(フラットライン)

脚本:ピーター・ハーネス
監督:ポール・ウィルムズハースト
放送日(イギリス):2014年10月18日
視聴者数(イギリス):670万人

ドクターとクララはイギリス・ロンドンに向かっていた。ところが、なぜかターディスはイギリス・ブリストル市に到着した。クララがターディスから出て付近の調査をする間に、ドクターはターディスを点検をすることになった。ところが、ターディスは急速に縮小していた。内部は変わりがないのだが、外部だけミニチュア化していたのだ。近くにいる何者かがターディスのエネルギーを奪っていたのだ。こうしてドクターはターディス内に閉じ込められ、外に出られなくなってしまう。

一方、クララは、最近このあたりで何人かが行方不明になったことをつきとめた。リグシーという名の若いグラフィティ・アーティスト(公共の建物の壁にスプレーペンキで落書き芸術を描く人)の助けを借りて、クララはドクターに代わって異次元からやってきた謎の侵攻者たちに立ち向かうことになる。


10.In The Forest Of The Night(夜の森で)

脚本:フランク・コトレル・ボイス
監督:シェリー・フォークソン
放送日(イギリス):2014年10月25日
視聴者数(イギリス):690万人

クララとダニーは学校の遠足に付き添って、ロンドンの博物館で一夜を過ごした。翌朝目覚めたら、街にはあたり一面、森が茂っていた。そんな中、ロンドンに到着したドクターは、メイブという名の少女に出会う。ダニーの生徒の一人である彼女は、謎に満ちたできごとと奇妙な形でつながっているようだ。

一方、クララは行方不明になったメイブを探す過程でドクターに再会し、全世界を森が覆い尽くしていることを知る。致死的な太陽フレアが刻一刻と迫る中、ドクターたちは森が人類を破滅に追いやるのか、それとも救済する手立てになるのかを探りださなければならない。

題名の『In The Forest Of The Night(夜の森で)』は、ウィリアム・ブレイク(イギリスの詩人)の詩集『無垢と経験のうた』に収められた詩『虎』から引用したものです。

脚本家のフランク・コトレル・ボイスは、2012年にロンドンで開催されたオリンピックの開会式の脚本を執筆しました。

監督のシェリー・フォークソンデイヴィッド・テナント主演のロマコメ映画『The Decoy Bride(おとりの花嫁)』(日本未公開)を監督しました。


11. Dark Water(暗い水)

脚本:スティーヴン・モファット
監督:レイチェル・タラレイ
放送日(イギリス):2014年11月1日

ダニー・ピンクが交通事故で死んだので、クララは何とかして彼を救うよう、ドクターに懇願する。ドクターはターディスのテレパシー回路を使って死後の世界に行くことを決意する。二人は「3W」という名の組織の廊下に到着した。そこで二人はえたいの知れないミシーという名の女性に出会う。彼女の話によると、死者の魂は謎めいた「ネザースフィア(冥界)」に行くとのことだった。だが、冥界にしろ、3W社にしろ、ミシーにしろ、すべて世を忍ぶ仮の姿だった。実のところ、ミシーはドクターの長年来の知り合いだったのだ……。

監督のレイチェル・タラレイはTVシリーズ『アリー・マクビール』、『スーパーナチュラル』、『ヘイヴン』、『コンティニュアム』のエピソードを監督した実績があります。また彼女は映画『エルム街の悪夢 ザ・ファイナルナイトメア』(1991)と『タンクガール』(1995)を監督しました。


12. Death In Heaven(天国での死)

脚本:スティーヴン・モファット
監督:レイチェル・タラレイ
放送日(イギリス):2014年11月8日


クリスマス特番:Last Christmas(最後のクリスマス)

脚本:スティーヴン・モファット
監督:ポール・ウィルムスハースト
放送日(イギリス):2014年12月25日

クララの住むアパートの屋上にサンタクロース(ニック・フロスト)と二人の妖精、そしてトナカイとソリが現れた。クララが目を白黒させている時、ドクターが現れ、すぐにターディスに乗るよう命令した。ドクターはクララに「何事も額面通りとらえないように」と忠告する。

ターディスは北極に到着した。そこには科学施設があり、科学者たちはドリーム・クラブ(夢蟹)に狙われていた。この蟹に取りつかれると、人は至福の境地に誘われ、幸せな夢を見る。しかし、そうしている間に蟹は犠牲者を貪(むさぼ)り食うのだった。

クララはこの蟹に取りつかれ、今は亡きボーイフレンドのダニー・ピンクとクリスマスを祝う夢を見る。ドクターはクララを救い出さなければならない。しかし、夢を見ている者は、自分が夢を見ていることをどうやって認識すればいいのだろう?

このエピソードには、映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)や『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(2007)でおなじみのイギリスのコメディアン・ニック・フロストがサンタクロースの役で出演しました。また、二代目ドクター(パトリック・トラウトン)の息子・マイケル・トラウトンが出演し、科学者の一人を演じました。


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