『ドクター・フー:ドカーン!(仮題)』レビュー

製作国:イギリス
原題:Boom(シーズン1第3話)
監督: ジュリー・アン・ロビンソン
脚本: スティーヴン・モファット
出演者:シュティ・ガトワ、ミリー・ギブソン、ジョー・アンダーソン、ほか
配信開始日:2024年5月17日
時間:44分44秒

あらすじ

惑星カスタリオン 3 では、人類軍が目に見えない敵との戦争に巻き込まれていた。ジョン・フランシス・ヴァター(ジョー・アンダーソン)は、地雷を踏まないよう気をつけながら、幼い娘スプライスが待つ基地に戻ろうとしていた。だが、その途中で、人類軍の「救急車」に遭遇、即死させられてしまう。戦闘で一時的に視力を失ったヴァターを、救急車のAIが無駄な戦力とみなし、命を奪ったのだ。

ヴァターの最期の叫び声を聞いたドクター(シュティ・ガトワ)は助けに向かうが、地雷を踏み、ちょっとでも動けば大爆発する「生きた爆弾」になってしまう。ドクターがルビー(ミリー・ギブソン)の助けを借りながら必死に爆弾を解除する方法を探していると、スプライスが父親を探してやって来た。その後、人類軍の兵士であるマンディ・フリン(ヴァラダ・セトゥ)がスプライスを追いかけてきた。マンディはドクターとルビーが敵ではないかと疑い、事態はさらに緊迫の度合いを高めていく。

レビュー

初めから終わりまで緊迫感・アクション・驚きに満ちた傑作SF

『ドクター・フー』の元ショーランナー(製作総指揮者)であるスティーヴン・モファットは、「もうドクター・フーの脚本は書かない」と宣言していたのだが、今回、前言を撤回して脚本執筆を引き受けた。モファットが卓越した脚本家であることは疑いがないのだが、正直言って、彼が指揮をとっていた時代の『ドクター・フー』は筆者の個人的な好みには合わなかった。SFというよりは、おとぎ話風の作風が肌に合わなかったのだ。彼はむしろゲスト脚本家としてペンをとる方が、才能をフルに発揮できるのではないかと思う。


BBC

今回モファットが手掛けたのは、「おとぎ話」ではなく、かなり本格的なSFのストーリーだった。ドクターが地雷を踏んでしまい、微動だにできない中、問題を解決しなければならない、という話の前提自体、興味をそそらずにはいられない。この前提を徹底的に追及し、全編手に汗握るストーリーに仕上げた力量はお見事! ガトワとギブソンの演技もうまく、初めから終わりまで、緊迫感と、アクションと、驚きに満ちている。

モファットは過去に「愛があればどんな問題でも解決する」というテーマをよく取り上げた。筆者はこのテーマが好きではない。きれいごと過ぎるというか、歯が浮くというか、言い逃れのように思えるから。今回もこのテーマに類似した展開になったのだが、愛というつかみどころのないコンセプトではなく、映画『トロン』のように、デジタル化された人間がAIを出し抜くというような展開になったので、自分の中ではストーリーがすっきりまとまった感がある。


BBC

このエピソードでは、次期からコンパニオンを務めることになっているヴァラダ・セトゥが早くも出演したということで話題になった。モファットの話では、今回セトゥが演じたマンディの物語は完結したので、このキャラクターが次期に復活することはないという。来年セトゥがまったく違うキャラクターを演じるのか、マンディとつながりのあるキャラクターを演じるのかは今のところ分かっていない。

なお、このエピソードでは、LEDスクリーンに背景を投射するという最新の撮影手法が採用されたとのこと。

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