原題:Rogue(『ドクター・フー』シーズン1第6話)
監督: ベン・チェセル
脚本: ケイト・ヘロン、ブリオニー・レッドマン
出演者:シュティ・ガトワ、ミリー・ギブソン、ジョナサン・グロフ、ほか
配信開始日:2024年6月8日
時間:44分51秒
あらすじ
ドクターとルビーは、1813 年、摂政時代のイギリスにやってきて、ペンバートン公爵夫人(インディラ・ヴァーマ)の屋敷で開かれたパーティーに出席する。華やかな社交ダンスが繰り広げられ、ゴシップ(噂話)に花が咲く中、ドクターとルビーのほかにも侵入者がいることが明らかになる。ローグ(ジョナサン・グロフ)と名乗る賞金稼ぎも会場に潜んでいたのだ。チュルダーと呼ばれる変身能力を持つエイリアンを追跡中のローグは、ドクターがチュルダーであると思い込み、死刑を執行しようとする。一方、ドクターから離れ独自に調査するルビーにチュルダーの魔手が伸びる。
レビュー
笑いがたっぷり盛り込まれた軽いノリの娯楽作
シーズン1最終話(2部構成)を前に、スクリューボール・コメディー(1930年代にアメリカで流行した軽快なテンポの喜劇映画)風の楽しいSF活劇が登場!
笑えるセリフや場面がてんこ盛りだったが、脚本を担当したケイト・ヘロンはマーベルのTVシリーズ『ロキ』を監督した人。『ロキ』も『ドクター・フー』同様、タイムトラベルがテーマなので、時間ものは十八番だろう。
ドクターの恋人候補・ローグを演じたジョナサン・グロフという俳優は、このエピソードを見るまで知らなかったのだが、一目見て「新世代のキャプテン・ジャック(9~10代目ドクターの仲間)」だと直感した。私だけでなく多くの人が同じ印象を持ったようだ。このキャラは来年以降のシリーズで復活するに違いない。
BBC
Doctor Who: The Church on Ruby Road (2023 Christmas Special) [DVD]
エピソードの中でルビーが「ブリジャートン家みたい」と喜ぶ場面があるが、『ブリジャートン家』とは、摂政時代における英上流階級の恋愛関係を描くアメリカの人気ドラマ(私は未見で、今後も見る気はないが)。『ブリジャートン家』は歴史改変もので、黒人も上流階級に属していたという設定になっているらしい。
ドクターとローグがバルコニーで出会う場面で流れている曲は、ビリー・アイリッシュの『バッド・ガイ』を室内楽の演奏にアレンジしたもの。このほかにもレディ・ガガの『ポーカーフェイス』もクラシック風にアレンジされていた。このように現代の曲を昔風のアレンジで流す手法は『ブリジャートン家』にならったものだそう。ラッセル・T・デイヴィス(製作総指揮者)は『ブリジャートン家』の人気にあやかり、その視聴者を『ドクター・フー』に取り込んで、新たな視聴者層を開拓しようとしたのかもしれない。
ちなみに、2024年の『ドクター・フー』クリスマス特番には『ブリジャートン』の主演女優の一人であるニコラ・コフランがゲスト出演する。