ドクター・フー:シーズン2第3話『ザ・ウェル』レビュー

製作国:イギリス
原題:The Well(『ドクター・フー』シーズン2第3話)
監督: アマンダ・ブロッチー
脚本: ラッセル・T・デイヴィス、シャーマ・エンジェル・ウォルフォール
出演者:シュティ・ガトワ、ヴァラダ・セトゥ、アナベル・ブルック、ほか
配信開始日:2025年4月26日
時間:47分57秒

あらすじ

50万年後の未来、ドクター(シュティ・ガトワ)とベリンダ(ヴァラダ・セトゥ)は、シャーヤ・コスタリオン(クリア・ダン)率いる調査隊とともにある惑星を訪れる。この惑星に植民地が築かれ、鉱物の採掘が行われていたのだが、連絡が途絶えてしまったのだ。今回の調査隊の任務は、この惑星で何が起きたのかを探ることだった。

調査の結果、入植者のほぼ全員が死亡していることが判明。銃撃された者もいれば、重度の身体的損傷を負って息絶えた者もいた。唯一の生存者は、娘のもとに一刻も早く帰ることを切望する料理人のアリス(アナベル・ブルック)。ベリンダはアリスに同情するが、彼女の背後に漂う暗い影をちらりと見てしまう。

短気で向こう見ずな兵士・カシオ(クリストファー・チャン)がシャーヤへの反乱を企てる中、ドクターは以前この惑星を訪れたことがあることに気づく……。

レビュー

秀作だが、若干のわだかまりが残る

ネタバレあり!

映画シリーズ『エイリアン』張りのSFホラー。全編が緊張感に満ち、手に汗握りながらドラマの行方を見守る類の作品。とはいうものの、『ドクター・フー』は家族向けのシリーズなので、心理的な恐怖に重点を置いており、『エイリアン』のようなグロい描写はない。そういうのが苦手な人でも安心して視聴することができる。

ゲスト出演者の中では、料理人のアリスを演じたアナベル・ブルックが際立っている。彼女が聴覚障碍者であることをストーリーに巧みに取り入れている。アリスが正常なのか、もしくは悪意を持った生命体に乗っ取られているのか、の疑問がサスペンスを作り出している。

リーダーのシャーヤを演じたクリオ・ダンは、飾り気がなく現実的なキャラクターを抑え気味に演じている。彼女が終盤で自らを犠牲にするために疾走する場面には感動した。この場面に、少女時代のシャーヤがモンスターから逃げ惑う場面を挟むことによって、このキャラクターにぐんと厚みが加わった。

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だが、手放しで絶賛できないところもいくつかある。本作は10代目ドクターのエピソード『ミッドナイト』の続編という形をとっている。『ミッドナイト』は、謎の生命体に精神をのっとられる恐怖に加えて、二人の俳優がセリフを完璧にシンクロさせるという難易度の高い演技をやってのけ、高い評価を受けたSF心理ホラーの傑作。本作『ザ・ウェル(井戸)』は、よくできてはいるものの、『ミッドナイト』には及ばない。続編を作ることによって、オリジナルエピソードの価値が少し下がってしまったのではないか。

また、本作は、打倒したと思われた悪の生命体が実は生きていた、という幕切れになっている。これはホラー映画によくあるパターンなので、作品全体が安っぽくなってしまったように思う。また、物語の終盤でシャーヤが払った犠牲が無意味になってしまった。

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