『ドクター・フー』シーズン2第5話レビュー

製作国:イギリス
原題:The Story & The Engine(『ドクター・フー』シーズン2第5話)
監督: マカラ・マクファーソン
脚本: イニュア・エラムズ
出演者:シュティ・ガトワ、ヴェラダ・セトゥ、スレ・リミ、ほか
配信開始日:2025年5月10日
時間:47分08秒

あらすじ

ドクター(シュティ・ガトワ)はベリンダ(ヴァラダ・セトゥ)を2019年のナイジェリア・ラゴスへ連れて行く。そこにはドクターの旧友、オモ・エソサ(スレ・リミ)が経営する、行きつけの理髪店があった。

しかし、邪悪な理髪師が店を乗っ取り、オモと3人の客を閉じ込めてしまう。彼らは交代で物語を語ることを強要される。というのも、物語を語ることによって、理髪師が発明した謎のエンジンに燃料が供給されるからだ。

ドクターもまた邪悪な理髪師の罠にかかり、店に閉じ込められる。しかし、オモと3人の客を救う鍵を握るのは、理髪師の仲間であるアビかもしれない……ドクターがアビと自分との古代の繋がりを解明できればの話だが……。

レビュー

アフリカ文化とSFファンタジーが融合

15代目ドクターはアフリカ系俳優が演じているので、この回はアフリカ社会を舞台にした異色作となった。脚本もアフリカ系の作家が担当したが、彼は市場の店主として本エピソードに友情出演している。

普段私たちが視聴するTVドラマでアフリカが舞台になることはめったにないので、初めから終わりまで、とにかく新鮮な印象を受けた。ドラマの中で語られる物語はアフリカの情緒たっぷりなアニメーションで表現され、リッチな視覚体験を提供してくれる。

理髪店に到着する前にドクターとベリンダがさ迷い歩く市場は、ナイジェリア系コンサルタントの助言の下、スタジオ内に大規模なセットを組んだものだそうだ。市場の混沌とした雰囲気がよく再現されている。

ストーリーはSFというよりも神話やファンタジーを前面に押し出した哲学的・抽象的な内容で、ついていけなかった子供もいたようだ。理解できないのももっともだ。私も大筋は理解できたものの、分かったような、分からないような……。セリフが多く、舞台劇を見ているような趣もあった。

満点を上げたいところだが、登場人物の言動に疑問点があったので、0.5ポイントほど減点させてもらった。それはドクターが親友のオモに対して怒る場面。ドクターが理髪店に足を踏み入れた時、オモが忠告しなかったので、ドクターは危険な状況に捕らえられることになった。そのことを怒ったのだ。だが、元々ドクターは、人を救うために自ら危険な状況に臨んでいく性格のはず。ましてや、危機に瀕している親友を救うためなら、自分の身に危険が降りかかることなど、ちっとも気にしないのではないだろうか。

その点は残念だったが、これは複数回の視聴に値する、味わい深い意欲作だ。

 

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