黒ずくめの男

イギリスの少女が白昼の路上で奇妙な老人に遭遇!

これはあるイギリス人女性の体験談です。

私はイギリス北西部にあるマンチェスターの町に住んでいます。これは私が11歳のときの体験談です。

その日は土曜日で、明るく晴れ上がっていました。私は母と連れ立って街に買い物に出かけました。買い物をすませ、帰りのバスを待っているとき、道の向かいにあるマクドナルに行きたくなりました。当時、マクドナルは開店したばかりで、そこに行くことは若い子たちの間でちょっとおしゃれなことだったのです。私はお気に入りのイチゴ・ミルクセーキを飲みたくなったのです。

せがんだ末、母はマクドナルドに行くことを許してくれたのですが、「早くしなさい。バスに乗り遅れたら30分も待たなくてはいけないから」と注意されました。

店に向かい、イチゴ・ミルクセーキを買って外に出た私は、コップのふたにストローを差し込むことに気をとられていました。そんな中、行く手にどこからともなく人が現れ、もろにぶつかってしまったのです。まるで冷たい鉄に当たったような衝撃を覚えました。

目を上げた私は、驚きのあまり立ちすくんでしまいました。そこにはビクトリア時代の葬儀屋を思わせる、異様な外見の男性が立っていたからです。60代後半から70代前半の老人で、背が高く、やせていました。その日はかなり暑かったのに、黒ずくめのいでたち。黒のフロックコート、黒のズボン、黒の手袋に身を固め、首には黒のスカーフを巻いていました。頭髪はクリームのようなもので後ろにしっかりなでつけてありました。

私は「本当にすみません。あなたの姿が見えなかったんです」と謝ったのですが、その男性は「ばかな小娘が。どこを向いて歩いているのだ」とでも言いたげに、じろっとにらみつけました。そのとき彼の瞳が真っ黒だったことを覚えています。

私は再び詫びて、母が待つバス停に急ぎました。その途中で振り返ってみました。きっと他の通行人も彼の姿を見ただろうと思ったからです。ところが、その男性は影も形もありませんでした。

「私がぶつかった変な男性を見た?」と母に尋ねたら、「そんな人など見なかったよ。おまえが道の真ん中で立ち止まったところは見たけど」との返事。

その後、母から興味深いことを教えられました。現在ショッピングセンターがあるところに、教会の墓地があったというのです。ショッピングセンターを立てるために、墓を掘り起こし、墓地を移動したのです。当時の子供は興奮して作業を見ていたそうです。

その男性には体があったし、私が話しかけたら反応を示したので、幽霊ではなかったと思うのです。私がショックを受けたのと同じくらい、彼もショックを受けているように見えました。何かの拍子で、過去と現在が交差したのではないかと思っています。