魔法を使える女

別れた彼女が所有物を引き取るためにアパートにやってきた。でも彼女の本は返したくない。そこで本を隠したのだが……

これはアメリカの男性、Dさんの体験談です。

10年前、元彼女と別れました。大きな喧嘩や騒動もなく、全てがスムーズに進みました。彼女は(ほぼ)全ての持ち物を持って、あっという間に出て行きました。

しかし、彼女のちょっとした持ち物が僕のアパートに残っていました。本も何冊かありました。僕はそれらの本を手元に残しておきたいと思っていました。返したくなかったのです。

数ヶ月後、当時僕が住んでいた新しいアパートで彼女と会うことになりました。

彼女の持ち物を一つのところにまとめたのですが、本を返すつもりはなかったので、彼女が訪ねてきた時に思い出さないように、一計を講じました。本棚から取り出し、他の本の後ろに隠して、見えないようにしたのです。本の裏に手を伸ばさないと、触れることができませんでした。

そして……その日がやってきました。僕はコーヒーを用意し、ソファに座っておしゃべりをしました。

コーヒーを飲み終えると、彼女はコーヒーテーブルの下に手を伸ばし、どこからともなく自分の本を取り出して、「これも持って行くわ」と言いました!

驚き顔の僕に向かって彼女はこう言いました。「あのね、私、魔法を使えるのよ。」

彼女はアパートに来てからずっとソファに座っていました。僕がコーヒーを用意するために部屋を出て彼女を独りにしたのは、ほんの少しの時間だったので、その間に部屋の中を探すことはできなかったはず。彼女が立ち上がる姿を見た覚えもありません。コーヒーテーブルの下に手を伸ばしたけれど、天板の下に棚や引き出しがあったわけではありません。

そんなわけで彼女は本を取り戻しました。それほど気にしているわけではありません。どうせ彼女のものだったのですから。でも、どうやって彼女があんな芸当をやってのけたのか、未だに不明です。