時空のお姉さん

塾の帰り道、迷うはずのない道で迷ってしまった女子高生。そこに赤い車が走ってきて……

高校生の頃に時空のお姉さんに会ったよ。

塾の帰りで終電をひと駅だけ寝過ごしてしまって、その駅でおりて歩いてたんだけど、線路と平行してずっと続いてる一本道をまっすぐ進むだけだから迷いようがないはずなのに、進むほどに街灯が減って暗くなるしアスファルトに雑草が生えるしで、これ絶対に変!と思って怖くなって、引き返して必死で走ってたらうしろから赤い車が走ってきて私を追い越した。

と思ったら車は止まって中からお姉さんが出てきて「おうちまで送ってあげる」って。知らない大人の人の車なんか乗っちゃいけないと思ったけど、なんせ私は怖くて泣いてたくらいだし、若いお姉さんだからこの人はぜったい悪い人じゃない!と勝手に決めた。

で家のすぐ前まで送り届けてもらって、お茶でも飲んでってくださいと誘ったんだけど、お姉さんは「私といっしょにおうち入ったらもとのおうちには戻れなくなるよ」みたいなことを言って、そのまま私だけ車をおりて家に入ったの。急いで母に事情を説明して二人で外に出たら車はいなくなってて、母はお姉さんにお礼の挨拶ができなかった。

そのときのことを母は「きつねに化かされたのをご先祖さまが姿を変えて助けてくれた」と解釈してて、私もそういうものなんだろうとずっと思ってたけど、異世界系の話を知った今では時空のお姉さんだと思ってる。

出典:異世界総合スレ 4 (時空の歪み・パラレルワールド)