これはアメリカの女性・エリンさんの体験談です。
誓って言いますが、これは本当の話です。あれは1996年の12月のことでした。暗くて凍えるくらい寒い日。あまりにも寒いので怖くなってしまう日ってあるでしょう? そんな感じでした。当時私は16歳。クリスマス休暇でニュージャージーのオーシャン市に住む父と義理の母の家を訪ねていました。親の家で休暇を過ごすなんて、さえないよね。
父と私は車で板張りの遊歩道まで出かけ、あたりを探検することにしました。そこには閉じた店や遊園地の乗り物が放置されていたんです。私たち一家は「足を踏み入れてはいけないような場所」に忍び込むことが大好きなんです。父と私は着膨れした熊のようないでたちで遊歩道まで歩いていきました。寒風が吹き始めたので、マフラーを首にまきつけ、コートを寄せて寒さから身を守りました。
遊歩道には人っ子ひとりいませんでした。あたりはシンと静まり返っていました。でも私たちはそんな雰囲気が大好きなんです。

父と娘、水入らずで楽しくおしゃべりしながら歩いていました。でも正直な話、父がそばにいてくれなかったら、きっと怖くなっていただろうと思います。あたりは荒涼としていて、とても不気味な雰囲気。古ぼけた遊園地の乗り物に雪がシンシンと舞い降り、聞こえるのは風のうなり声だけ。指は寒さのためかじかんでいました。
かれこれ800メートルくらい歩いたでしょうか。私たちの方に向かって誰かがやってくるのに気づき、ちょっと緊張しました。なぜって閉鎖された遊園地の中で二人きりだったから。「出ていけ!」と怒鳴られるんじゃないかと気が気ではなかった。でもその人が近づくに連れ、誰かがジョギングしているだけだということに気づきました。私たちは挨拶をしようとして、通り過ぎる彼に微笑みかけました。彼は私たちをじろっと見つめ返しました。
世にも不思議なことが起こったのはその後です。顔を正面に向けたら、約6メートル先に同じ人がいるではありませんか! 彼はジョギングしながら私たちに向かって走ってくるところでした。最初、私は混乱しまくりました。それで背後を見て最初の走者を見ようとしたんです。でもそこには誰もいませんでした。父も同じ疑問を抱いていることがわかりました。なぜって父も背後を見ていたからです。そして二番目の走者が私たちのそばを通り過ぎました。前とまったく同じ人。服も同じでした。前回と同じように彼は私たちを空虚なまなざしで見つめ、走り去りました。
しばらくの間、父も私も言葉がありませんでした。二人とも頭の中でこのことを論理的に説明しようとしたのだと思います。でも説明はできなかった。あの走者が私たちに気づかれることなく元来た道を戻り、方向転換して再び私たちに向かって走ってくることなんて絶対にありえなかった。遊歩道で私たち以外にいたのは彼ひとりだけでした。
仮に走者が双子だったとしても、最初の走者を見たとき、その背後に二番目の走者が見えたはず。なぜって二番目の人は最初の人から6メートルぐらいしか離れていなかったから。それに振り返ったとき最初に走っていった人が目に入ったはず。
その後、父も私も気味が悪くなったので、無言で車に戻りました。でも遊歩道を歩くのはやめにしました。街の通りを歩いて戻ったんです。
今日もなお、私たちはあの日、何らかの超常現象が起きたと信じて疑いません。でもあれが何だったのかは今もって謎のままです。
