半村良の時間SF

半村良(はんむら りょう)

半村良(1933年 – 2002年)は、日本の著名な作家。特にSF(サイエンス・フィクション)や歴史小説で知られている。作風は幅広く、現代的なテーマから歴史的、未来的なビジョンまでを描き出している。科学技術の進歩や人間の未来に対する鋭い洞察を示す一方で、伝統的な日本の価値観や文化を反映している。

代表作のひとつに『戦国自衛隊』がある。この作品では、自衛隊が戦国時代にタイムスリップするというストーリーを展開し、歴史改変SFとして多くのファンを魅了した。また、『八ヶ岳シリーズ』などで、日本の田園風景や地方社会を舞台にした幻想的な物語も描いている。

半村良の作品には、技術的進歩と人間性のジレンマがしばしば描かれており、日本の未来社会への懸念や期待が込められている。また、時折、社会問題や倫理的テーマも扱い、深い哲学的な問いを投げかけることが多い。主な受賞歴に、星雲賞(1972年)、泉鏡花文学賞(1973年)、直木賞(1975年)、日本SF大賞(1988年)がある。

半村良の時間SF作品

1971年

およね平吉時穴道行

コピーライターの私は、江戸時代の戯作者山東京伝の現代にも通用する広告のセンスに親近感を抱いていた。私は、ひょんな事で、江戸時代の岡ッ引き“平吉”が書いた古日記を入手、日記には、京伝の妹“およね”への恋と、彼女が神隠しにあったらしい異変が記されていた。――そんな時、CMに登用した人気歌手が、知るはずのない日記の内容を熟知している事に気づいた! 彼女によってよみがえった、二百年後の恋のゆくえは……。表題作の他「収穫」等を収めた、半村良の傑作短編集。

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文庫およね平吉時穴道行


1973年

産霊山秘録(むすびのやまひろく)

はるか古代から続く〈ヒ〉一族は、国が動乱期にさしかかると、特殊な能力を使って危機を救ってきたといわれる。その能力とは、御鏡、依玉、伊吹と呼ばれる三種の神器を使ったテレパシー、テレポーテーションであった。物語は戦国の世、織田信長の比叡山焼き討ちから始まり、関ヶ原、幕末、太平洋戦争、そして戦後の混乱期へと四百年の時を越える。歴史の襞の中で動く〈ヒ〉一族を圧倒的スケールで描くSF伝奇ロマンの傑作。第一回泉鏡花文学賞受賞作。

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文庫:産霊山秘録


1974年

亜空間要塞

あなたは、亜空間要塞という存在を信じられるだろうか。それは、侵略宇宙人が地球に据えつけた基地で、あなたのすぐそばに、あるかもしれない。――SF好きな四人組の前に、二十数年間も行方不明だった浄閑時公等が突然出現した。出現の謎の解明に向かった彼らに、突如、UFOの怪光線が襲いかかり、気がつくと“ジョーカンジー”と呼ばれる神がまつられた異次元空間に漂着していた……。鬼才、半村良があらゆるSF的世界の怪現象を雄大に描いた大冒険SF。

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文庫:亜空間要塞


1974年

わがふるさとは黄泉の国

ある時、商社マン室谷は知り合いのデザイナー久子が“自殺村”と称される奇妙な村の出身である事を知らされた。人づき合いが苦手で、古代史やら民俗学の本を読みふける彼は、その村が、古事記に由来する事に気づく。村人は先祖代々、自ら死に急ぎ、現在死に絶えていた。村は死者の国である黄泉の国と地形的につながり、彼の血筋もまた村人の秘密につながっていた……。奇想天外なストーリーの展開を示す表題作他、多元宇宙テーマの「二都物語」等を収めた半村良の傑作短篇集。

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1974年

戦国自衛隊

日本海側で大演習を展開していた自衛隊を、突如<時震>が襲った。突風が渦を巻きあげた瞬間、彼らの姿は跡形もなく消えてしまったのだ。伊庭三尉を中心とする一団は、いつの間にか群雄が割拠する戦国時代にタイムスリップし、そこでのちに上杉謙信となる武将とめぐり逢う。 <歴史>は、哨戒艇、装甲車、ヘリコプターなどの最新兵器を携えた彼らに、何をさせるつもりなのか。日本SF界に衝撃を与えた傑作が新装版で登場。

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1975年

亜空間要塞の逆襲

ある日、私、半村良の本を読んだという男が訪ねてきて驚くべき事を語った。それは、まったくの空想で私が考え出した世界『亜空間要塞』は実在し、彼自身も小説の登場人物として亜空間要塞に行ってきたという……。以来私は、なぜ『亜空間要塞』を書き上げたのかを知ろうとする宇宙人に追いまわされるはめになった。そして、とうとう私までが自分の作品の世界に足を踏み入れることになってしまったのだ! 奇想天外なSF世界を展開しながら作者自身の内面を語る『亜空間要塞』の続編。

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文庫:亜空間要塞の逆襲