ブレイン・ゲーム
制作国: アメリカ
監督: アフォンソ・ポイアルチ
脚本: ショーン・ベイリー、テッド・グリフィン
出演者: アンソニー・ホプキンズ、コリン・ファレル、アビー・コーニッシュ、ジェフリー・ディーン・モーガン
上映時間: 101分
公開日(アメリカ):2016年12月16日
公開日(日本):2018年10月6日
過去や未来を透視する能力を持つ医師のジョン・クランシー(アンソニー・ホプキンズ)は、最愛の娘を白血病で亡くして以来、妻と別居し、2年の間、隠遁生活を送っていた。
そんなクランシーに、FBI特別捜査官のジョー(ジェフリー・ディーン・モーガン)と、相棒の捜査官・キャサリン(アビー・コーニッシュ)が協力を求めてやってくる。連続殺人事件の解決に行き詰ったので、クランシーの超能力を頼りに手がかりをつかみたいというのだ。
だが、捜査を進めるうちにショッキングな事実が明らかになる。犯人もまた過去や未来を見られる超能力者で、しかもクランシーより上手だというのだ……。





本作は映画『セブン』(デイヴィッド・フィンチャー監督)の続編として企画され、『エイト(8)』という題が付けられる予定だったが、フィンチャーから拒否されたため、制作は難航、アメリカでは限られた劇場でしか公開されず、結局 DVD スルーになってしまったのだそうです。でも私は『セブン』よりも本作の方が優れていると思いました。
『セブン』は頭のおかしい犯罪者が残忍な殺人を繰り返すという話に過ぎなかったが、『ブレイン・ゲーム』の犯人はかなり説得力のある動機に基づいて殺人を行います。この種の犯罪映画で、犯人に反感を抱かなったのは、私にとってこれが初めてのことです。反感どころか犯人の言い分に共感さえしてしまいました! 邦題の『ブレイン・ゲーム』は安っぽいアクション映画を連想させるが、本作はそれよりも奥が深く、道徳的ジレンマを観客につきつけます。その意味で原題の『Solace(慰め、安堵)』の方が映画の内容をよりよく表しているように思えました。
連続殺人がテーマなだけに、残酷な場面は度々出てくるが、その衝撃度は適度に抑制されており、過度にグロテスクな場面はありません。抑制されているといえば、アンソニー・ホプキンズの微妙な演技は圧巻! 目の演技だけで登場人物の心情が痛いほど伝わってきます。犯人役のコリン・ファレルも適役。彼以外の配役は考えられません。
重いテーマを扱っているが、派手なカーチェイスを途中に挟んだり、目を楽しませるスタイリッシュな映像(特に一人の人間が複数に分かれる特殊映像はお見事!)取り入れるなどしてバランスをとっています。意外な展開もいくつか用意されており、最後の最後に明かされる事実が観る者に深い余韻を残します。

comments powered by Disqus