俳優のアンソニー・ホプキンズが若いころに体験した不思議なできごととは……?
70年代初期に、ホプキンズ氏は『ペトロヴカから来た女』(1974年・日本未公開)という映画に出演する契約を結びました。
これはゴールディ・ホーン演じるロシアのバレリーナがアメリカの新聞記者(ハル・ハルブルック)と恋に落ち、そのことに難色を示したKGBが二人の仲を裂こうとする物語です。これはジョージ・ファイファー原作の同名の小説を映画化したものです。
当時ロンドンにいたホプキンズ氏は役作りのために原作本を探していました。ところが、探せど探せど、その本を置いてある書店は見つかりませんでした。
落胆した彼は「レスタースクエア」という、ロンドンの繁華街にある地下鉄の駅に降りていきました。プラットホームのベンチに腰を下ろしたら、そこに本がありました。彼はあたりを見回して本の持ち主を探しましたが、それらしき人は見当たりませんでした。
その本は正に『ペトロヴカから来た女』だったのです。この幸運のおかげで、彼は役作りをすることができました。
それから数週間後、ホプキンズ氏は撮影のためにヨーロッパ行きの飛行機に乗りました。彼は撮影地で原作者のジョージ・ファイファーに会ったのですが、ファイファー氏は自分用の『ペトロヴカから来た女』の本をなくしてしまったので、嘆いていました。彼はその本のページの余白にメモをとっていたのです。彼はロンドンの友達に本を貸したのですが、その友達はどこかで本をなくしてしまったというのです。
ホプキンズ氏が拾った本のページにはメモがとられていました。そこで彼はその本を原作者に見せ、それを拾った驚くべきいきさつを伝えました。もうお分かりと思いますが、その本こそ原作者がなくしたものだったのです。
その本は何百キロメートルもの距離を超えて正当な所有者の元に戻ったのです。
下の動画は『ペトロヴカから来た女』の予告編です。