これはあるアメリカ人女性の体験談です。
私は、7歳のとき、珍しいタイムスリップを体験しました。1968年7月、アメリカ・マサチューセッツ州のフィッチバーグでのできごとです。
その日は太陽が照っていて暑かったので、一人で森の中を歩いて探検してみることに。その森は樹木が生い茂り、日光を遮断していました。木の枝や葉っぱが顔や髪の毛や体にまとわりついたので、取り除かなければなりませんでした。
10分ほど歩き、森の向こう側に出たとき、目にした光景にショックを受け、茫然(ぼうぜん)となりました。そこには未来的な住宅街が広がっていたんです。
住宅や道路はとても進んでいるように見えました。非常に清潔で、色どり鮮やかで、きれいでした。道路は、黒のタールではなく、銀色がかった白の金属的なセメントでできており、日光がそこに反射しているのが見てとれました。
住宅はかなり進んだもので、多数の大きな窓がついていました。屋根はカラフルで、街灯も見慣れないものでした。それまで私はそんな光景をついぞ見たことがありませんでした。
そこで6分ほど時を過ごしましたが、歩行者はぜんぜん見かけませんでした。そこにいたのは私一人だけだったのです。低いブーンという音が聞こえましたが、それが何の音なのかはわかりませんでした。
心細くなり、自宅に引き返して、母にこの話をすることにしました。母は私の話に耳を貸そうとせず、「森に行ってはいけません」と釘をさしただけで終わりました。
翌日、こっそり家から抜け出し、また森の中に入り、未来の光景を見物しようとしたのですが、もはやそれを見つけることはできませんでした。懸命にあたりを探し回ったのですが、跡形もなく消え失せていたのです。