これはオーストラリア・メルボルン市に在住の男性・トッドさんの体験談です。
今、俺は30歳なんですけど、20代初めのころ、イギリスに住んでいたんです。まずロンドンに住み、そのあとロンドン郊外のエセックス州に引っ越しました。俺の住んでたところはすごい田舎で、馬小屋がたくさんありました。
あれはクリスマスのあとの1月のことでした。農夫の友達が乗馬に誘ってくれたんです。馬に乗って「エッピングの森」に行くことになりました。そこに行く前に友達が「あの森では変なことがよく起こるんだぜ」と言っていました。
その日はとても寒く、雪がちらつき始めていました。森の中の道を走っていたら、ちょっとした空き地に出ました。そうしたら、ただでさえ低い気温がさらに低くなり、馬がうめき声を上げたり、動き回ったりして、奇妙な行動をとるようになりました。
そして森の中から一人の男が現れました。彼は俺たちから20~30メートルくらい前にいて、魔法使いのように見えました。高い帽子をかぶり、長いケープ(袖なしの肩マント)を着ていました。彼は振り返って俺たちを見つめました。年寄りで肌は青白く、17世紀の人のように見えました。
「そこで何してるんだよ?」と問いかけたら、その老人は黙って森の中へ消えていきました。彼のいたところに行ってみたら、雪が積もっていたのに、足跡はありませんでした。結構ビビりました。
そうこうしているうちに馬の体温が下がってきたので、走らせて体温を上げることにしました。俺たちは雪の降りしきる中、馬を全速力で走らせました。30分ほど走ったら、谷間に出ました。そして俺たちの行く手にまたあの老人が現れたんです! それは普通の人間では絶対にできない芸当です。彼はさっきと同じように俺たちを見つめたあと、森の中に消えていきました。
その夜、パブに行ったんですけど、そこには乗馬好きの仲間たちが集まっていました。で、この体験をみんなに話して聞かせたら、デイヴというの名の友達が「誰にも話すなよ」と前置きした上で、彼自身の不思議体験を話してくれました。彼は地に足がついた配管工です。その彼がたそがれ時に例の森で乗馬をしていたら、何百人もの古代ローマ人部隊が、前の道を横切っていったそうです。兵士たちはヘルメットをかぶり、手に槍(やり)や旗を持っていたそうです。
もし本当に魔法使いだったら魔法を教えてもらいたいです