これはアメリカの男性、ショーンさんの体験談です。
これは2000年代初期に起きたできごとです。ある夜、生まれ故郷の町にある橋を渡る夢を見ました。
その町には4つの橋があるのですが、夢に出てきた橋は街中から最も離れたところにあり、最も使われていない橋でした。夢の中では、その橋の左側の通路だけが開通しており、右側の通路は見当たりませんでした。右側の通路があったところには鉄筋や鉄線が垂れさがっているだけでした。ここまでのところ、ごくありきたりの夢です。
橋の向こう側には元カノが立っていました。この夢を見た時点で、彼女と別れてからおよそ一年が経っていました。彼女は混乱した面持ちで僕を見つめていました。別れてから彼女と一言も言葉を交わしていなかったので、この期に及んで彼女の夢を見るのは奇妙なことのように思えました。
僕は左側の通路に散乱したコンクリートの破片を避けながら歩を進めていきました。右側に足を踏み外せば川に落ちてしまうので、慎重に歩いていきました。彼女はそんな僕を真剣な面持ちで見つめていました。
ついに彼女の元に到着、声をかけようとしました。彼女はちょっと首をかしげ、僕を見つめました。次の瞬間、目を覚ましました。
ここから話は奇妙になっていきます。別れて以来、彼女のことを考えることはなかったのですが、夢を見たので心配になってきました。そこで、変わりがないかどうかを確かめるために、電話を入れることにしました。今になってみれば、電話をかけずにはいられなかったのです。
奇妙なことに、電話に出た彼女に驚いた様子はありませんでした。礼儀的にあいさつを交わしたあと、彼女はこう言いました。「あなたが電話をかけてくることを分かっていたわ」と。僕は驚き、その理由を尋ねました。
彼女の言うことには、前夜に夢を見たというのです。それは僕が見た夢とまったく同じでした。唯一異なる点は、彼女の視点から同じ夢を見たということです。コンクリートの破片を避けながら橋を渡る僕の姿を見たのです。そして、橋の右側に足を踏み外し、川に落ちそうになるところも見たといいます。最終的に彼女の元にたどり着き、僕が話しかけようとしたところで目が覚めたといいます。
その夢にはどんな意味があるのか、どうして二人が同じ夢を見たのか、いまだに答えは分かりません。一つ確かなことは、僕の生涯の中で最も奇妙な体験の一つだったということです。