007 ムーンレイカー』はルイス・ギルバート監督のスパイアクション映画で、007シリーズの第11作に当たります。本作は1979年に公開されました。

『007 ムーンレイカー』の1シーン。絶対に何かがおかしい!

本作の中に説明不可能な場面があり、マンデラ・エフェクト(実際に起きたできごとと矛盾する記憶を持つという現象)だとして、話題を巻き起こしています。

問題の場面はリオ・デ・ジャネイロのケーブルカーが舞台になっています。金属の歯を持つ男・ジョーズ(リチャード・キール)は、ボンド(ロジャー・ムーア)とグッドヘッド博士(ロイス・チャイルズ)を殺そうとしますが、その企みは失敗し、ジョーズは歯車の下敷きになります。そこに金髪の若い女性・ドリー(ブランシュ・ラヴァレク)が駆け付け、ジョーズを救い出します。二人はニッコリと微笑み合い、お互いに一目惚れします。

ドリーが微笑んだ時、白い歯がむき出しになりますが、多くの人がこれとは違う記憶を持っています。彼女は歯列矯正装置をつけていたというのです。かくいう筆者も、昔、自宅のテレビで本作を見た時、彼女の口の中が銀色に光っていたことを明確に覚えています。これは決して記憶の誤りではありません。筋金入りのボンドファンで、『ムーンレイカー』を何度も鑑賞したという人も、「彼女は矯正装置をつけていた」と証言しています。

実のところ、ドリーが矯正装置をつけていなかったら、この場面は意味不明になります。グロテスクな金属の歯を持つ大男と、小柄な美女の間にロマンスが芽生える可能性は極めて低いのに、彼女の口の中も金属だらけだということが共通点となって、心が通じ合い、二人は恋に落ちるのです。

また、この場面は観客の笑いをとるために作られたと言えるでしょう。美女が微笑んだ時、口の中がギンギラギンに光っているという意外性が笑いを呼んだのです。実際、本作を劇場で見た人の中には、「この場面になった時、観客がどっと笑ったことを覚えている」と主張する人が何人もいます。

筆者は本作のDVDを所有しているため、先ほど確かめてみたのですが、彼女は矯正装置をつけていませんでした。また、本作のVHSテープや、オリジナルの35mmフィルムを所有している人が、問題の場面を見たところ、ここでも彼女は装置をつけていなかったそうです。

ある人は、この件がどうしても納得できなかったので、ドリーの役を演じたブランシュ・ラヴァレクに直接連絡し、当時矯正装置をつけたかどうか尋ねたそうです。すると、「つけませんでした」との答えが返ってきたそうです。

35oフィルムによって確認され、ドリーを演じた俳優本人が否定したのですから、これで事態は一件落着したかのように見えます。それでも私は「単なる記憶の誤りだ」と一掃することはできません。この007映画の専門サイト(英語)では『007 ムーンレイカー』のキャラクターが画像入りで詳しく解説されていますが、ドリーの項目では「金髪を三つ編みにした小柄な女性で、眼鏡をかけ、矯正装置をつけている」と描写されています。ところが、添付画像のドリーは装置をつけていません! このほかにも、昔の映画評の中に、矯正装置に言及したものがあります。

ユーチューブの関連ページに書き込まれたコメントの中に、こんな興味深いものがありました。

「私のおじはロンドンで歯科医をしていました。おじは『007 私を愛したスパイ』のために、リチャード(ジョーズ役)の歯型をとりました。おじの歯科医仲間は『ムーンレイカー』のために、ドリーの歯型をとりました。この話は80年代におじから聞きました。残念ながらおじは90年代に亡くなりましたが、嘘をつくような人ではありませんでした。」

下の動画はVISAのクレジットカードのCMで、リチャード・キール氏が出演しています。レジの女性が矯正装置をつけていますが、これは映画のパロディだと思われます。そうでなかったら、このコマーシャルはまったく意味を成しません。

なぜこのような現象が起きるのでしょう? 最も人気がある説は、CERN(欧州原子核研究機構)の仕業だというものです。粒子加速器の実験によって、私たちの住む世界と、もう一つの並行世界が融合したというのです。最近マンデラ・エフェクトが多発しているのは、そのせいだと。

あなたはドリーが矯正装置をつけた場面を見た記憶がありますか? その場合、ぜひコメントをお願いします!

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・スパイダーマン2で、マゲイナ・トーヴァさんが大家さんの娘役で出ていますが、歯の矯正をしていた記憶があります。今みたところ、矯正していませんでした。

やこちゃんさん(2022年8月20日)


・今、マンデラエフェクトを調べてたんだけど、この記事に一番ギョッとした。彼女は確かに矯正装置を付けてた記憶がある。なにが起きてるの?気味が悪い。

タンタンさん(2017年10月31日)


・ふいに思い出しました、私の記憶でも確かにこの女優が笑うと矯正機全開だったと思います。そしてどっと笑うというより自分的には失笑だったと思います。フッと言う感じです。しかし映画ではよくあることなんですが、別バージョンが存在するとかはないんでしょうか?またはやはり、カーク・ダグラスと同じ様な?

syunさん(2017年2月18日)


・いつも楽しく拝読してます。今回の「ムーンレイカー」、子供の頃テレビで見た時はこの女優さんの歯に矯正装置が見えた気がします。そのせいで「なんだかずいぶん小さい子みたい。このラスト、ジョーズ氏が犯罪者っぽい」などと失礼な感想を持ったのですから。今見ると小柄なだけで立派な成人女性ですね。なぜこんな記憶違いが起こったのか不思議です。

どっとはらいさん(2017年2月9日)


・今回初めてマンデラ・エフェクト的な体験をしてドキドキしています。幼い頃に家族で映画館に観に行ったきりなので定かでは無いのですが、言われてみれば矯正装置が見えてギョッとした様な覚えがあるような…気がします。

当時ジョーズの役者さんも出演されていた映画『キャノンボール2』辺りでパロディーのシーンがあっただとか、身近で歯の矯正をしている人を見たらジョーズを連想したという覚えと混同しただとかいう説も考えてみました。

何はともあれ自分自身も今まさに感じている不思議、とても興味深いです。

タイムトラベル大好きっ子さん(2017年2月6日)

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