僧侶からもらった指輪

インドの少年が僧侶から指輪をもらうも、紛失してしまい……

これはインドの男性、Sさんの体験談です。

僕はインドの出身で、現在32歳です。14歳の時、イギリスに留学しました。

僕は金属製の指輪を一つ持っていました。それはインドの僧侶にもらったものです。なんでも、その指輪には僕の心を安らかにしてくれる働きがあるとのことでした。とてもシンプルなデザインでした。

ある日のこと。イギリスに滞在していた時、指輪を服のポケットに入れたまま洗濯し、なくしてしまいました。でも、特に気に留めることはありませんでした。なぜならそれは安物だったからです。

それから半年後、インドに戻り、木製の箪笥の中にその指輪があることに気づきました。ちょっとショックを受けました。それはお手製の鉄の指輪で、はんだ付けしたところが出っ張っているという特徴があったので、すぐに見分けがついたのです。

インドにいる間中、その指輪をはめていたのですが、校庭で遊んでいる時にまたなくしてしまいました。

「またやっちゃったよ。二度もなくしてしまった」と考えながら、そのできごとを笑い飛ばしました。しょせん安物なので、気にならなかったのです。

さて、ここから話は面白くなってきます。

それから約1年後、またイギリスに戻りました。当時、僕が寄宿していた家の世話人の女性がやってきて、指輪をなくしたかどうか尋ねてきたので、「はい、なくしました」と応えました。

彼女は「床に落ちていたの」と言いながら指輪を差し出しました。「なぜ僕のものだと分かったのですか?」と尋ねたら、「だってあなた、いつも指輪をはめているでしょ?」との返事。でも、その時点で、一年もの間、指輪をはめていなかったのです!

ひどく狼狽しました。でも、いやいやながら指輪をはめました。そして、またしてもインドでその指輪をなくしてしまいました。

運命を共にする指輪ですね。