これは日本ののりこさんの体験談です。ご投稿ありがとうございました!
それまで霊感強いなんて事もなく、怖い思いしないで良かった~、と思っていた私が唯一経験した、不思議体験を書かせてください。
もう20年近く前の事ですが、桜の盛りが過ぎ、花びらが道路上のあちこちを舞っている生暖かい日でした。私は友人5人と夕方6時に、下北沢駅の京王井の頭線改札口で待ち合わせをしていたのですが、ちょっと遅刻していました。
下北沢で小田急線下り電車を降りると、降りたホームの壁に「井の頭線→」というパネルがありましたが、私は気がせいていたので「そのまま小田急線南口改札を出て、外からその矢印方向に行った方が早いかも!」と思って、一旦外に出ました。
小田急線の線路沿いをさっきの矢印(東)方向に歩き踏切を渡ると、すぐに井の頭線の改札口があったのですが..時間過ぎているのに5人誰もいない!..のです。井の頭線の改札口は一つしかないと聞いているけれど、、でも何か私が間違えたに違いない。この上はもう仕方がない、「あの人もしかしたらまちがえて、ほかの改札にいるのかも!」と、誰かが探しにきてくれる事を祈って、ここと、あと小田急線の北口南口の、3つの改札をまんべんなく周ろう!、とそれから1時間、この3カ所のあいだをグルグルと回り続けました。
その時私がいた井の頭線口の先には「駅前市場」という古い小さな商店街があり、真ん中を狭い路地が通っていました。近くたて壊されるという事で閉まっている所が多く、営業しているお店も、縁日みたいな唐辛子やさんとかいなかっぽい洋品店とか..狭い路地の真ん中には木の丸椅子を出して、白シャツステテコ姿のおじいさんが坐り、女の子がまりで一人遊びをしてたり、全体的になんとなく気味悪い場所でしたが、「小田急線北口への近道」と札に書いてあったので、我慢してそこを通り抜け、何十回もグルグルし続けたわけです。
その日は結局誰とも会えず、諦めてうちに帰りました(その頃は私たちオバさん仲間はあんまりケイタイ持ってなかったんです)。後から友人に電話してみると、彼女たちも1時間ずっと井の頭線改札口で待ってくれていたという事で、やっぱりおかしい..
その二日後、近くまで用事で出かけたついでに、あの時の検証してみようと、また下北沢に行ってみました。今度は小田急線下りホーム上の「井の頭線→」の表示通りに進むと、その道はその先でなんと!、逆方向に鋭角に曲がっていました。この、構内から表示通りに進んで着いた本当の(?)井の頭線改札は、この間のが東口とすると、いわば西口に当たる場所にあったのです。ですから、「な~んだ、井の頭線の改札口って、やっぱり二つあったんじゃない!」でした。
ついでにこの間私がさんざんアタフタしたところも見ておこうと、その「西口」から小田急線線路に沿って歩き、小田急線南口を越して、こないだの井の頭線「東口」を目指してまた踏切を渡ったら..ないのです! あの改札口が…..?
この二日間に改札が取り壊されたのかも、と無理にも思い込みたかったけれど、そうもいかなかった..なぜなら、このあいだは踏切を超えて改札口、そしてその向こうに駅前市場、だったものが、この日は踏切超えてすぐに駅前市場、つまり駅前市場が、このあいだ改札口があった場所に移動していたんです。まさに狐につままれたような気分でした(因みにこの日はもう怖くて、あの何か気味悪かった駅前市場の中には入りませんでした)。
家に帰って家族にこの事を話すと、それは勘違いだとか見間違えたんだとか、信じてもらえなかったけれどでも、私はあの日あの場所をちょっと通り過ぎた訳じゃないんです。1時間ものあいだ何十回も、さんざん中を見、周りを確かめ、上にかかってる駅看板をチェックし。。
その折たしかめた改札口上の看板は、白地に黒で筆文字風に「下北沢駅」となっており、右下にこれも黒で「京王電鉄」と書いてあったけれど、西側にあった本当(?)の井の頭線改札の方は白地に黒で「下北沢」、右下にはピンク地の長方形の中に白で「KEIO」と抜いてありました。同じ会社同じ駅に設置してある看板の装丁が違う、というのにも違和感..
その「東口」ともいうべき改札口は周辺もちょっと暗かったけれど人の行き来がない訳ではなかったし、2、3台の改札機には時々人の出入りもありました。改札機の先の構内はしばらく直進したあと左に折れており、「もしかしてみんなあの曲がった先にいるのかしら?」とよほど中に入ってみようかと思ったけれど、入っていたらもしかして私はどっか行っちゃったかも?
その後、下北沢在住の友人に、下北駅は以前、井の頭線改札がもう一つあったのでは、とか駅周辺に何か古い言い伝えみたいなものがないか、とか尋ねたけれど、彼女は興味なさそうに「さぁ..」と言っただけでした。
まもなく駅前市場は取り壊されたようだし、下北駅周辺は再開発がなされ、今はもう様変わりした風景しかありませんが「あれはいったい何だったんだろう..」といまだに時々思い出す、私の不思議体験でした。