雨に濡れても

ルーマニアの女性が街を歩いているとき、タイムスリップを体験!

これはルーマニアの女性・Tさんの体験談です。

タイムスリップは起こりえます。なぜそう断言できるのかというと、私が実際にそれを体験したからです。

1967年ブカレスト。私は路面電車の駅に向かって歩を進めていました。当時、駅に行くときはいつも同じコースをたどっていたのですが、その日はふと思い立ち、並行する通りに行ってみることにしました。というのも、同じ通りを何度も歩くのに飽きたからです。

しかし、歩いていると、あたりの様子が変わっていることに気づきました。新しい建物が右側に立ち並んでいたんです。周りには人っ子一人いませんでした。しかも急に雨が降り始めました。あいにくそのとき傘を持っていなかったので、せっかくの高価なドレスが濡れて台無しになることを覚悟しなければなりませんでした。ただ、温かいしとしと雨で、冷たくなかったのは幸いでした。

路面電車の駅に行くために右に曲がったら、すべてが正常に戻りました。しかし、道行く人々は私の髪とドレスがびしょ濡れになっていたので、変な目で見ていました。振り返ると、すべての建物が消え、雨も雲もなく……晴れ渡っていました。

数年後、タイムスリップを体験した通りで、新しいビルの建設が始まりました。それらの建物は、あの日私が雨の中で見たのと同じものでした。そのとき初めて、自分が未来の光景を見たことに気づいたんです。家族にこの話をしたら、「このことは人に話さない方がいいよ。頭がおかしいと思われるのがオチだからね」と忠告されました。

実は、私の母もタイムスリップを体験したんです。よく知られた通りを歩いていたら、道に迷い、あたりの様子が一変していたのだそうです。そこから抜け出すのに苦労したとのこと。幸い、その後、母も私もそのような体験を二度としていないので、感謝しています。