これはあるアメリカ人男性の体験談です。
数年前、二人の親友とつれだってキューバに観光旅行に出かけました。日中、トリニダード（キューバ中央部の町）を観光している時、地下洞窟に出くわしました。その洞窟はナイトクラブとして使われており、その時点では閉まっていました。
一人の男性が門のところに現れ、「今夜オープンするよ」と教えてくれました。「中がどうなっているのか見たいので、入ってもいいですか？」と尋ねたら、「いいよ」と快諾を得ました。ところが友達は乗り気ではなく、外で待っているとのことだったので、「すぐ戻ってくるね」と告げて洞窟の中へと歩を進めました。
そんなわけで、長い階段を下りて洞窟に入りました。そこは巨大な空洞になっており、2、3のバーとダンスフロアがありました。中は薄暗く、コウモリの音が聞こえました。普通だったら自分は洞窟や暗い場所にビビらない方なのですが、この洞窟は嫌な感じがしました。それで男性に2、3質問をし、写真を撮ってから、そそくさと地上に向かいました。洞窟の中にいた時間は精々5分。最長でも10分ぐらいだったはず。
外に出たら二人の友達は心配と怒りが入り混じったような表情を浮かべていました。1時間以上も洞窟の中にいたので、警察に連絡すべきかどうか迷っていたと言うのです。僕は吹き出しました。友達にかつがれているのだと思ったのです。でも、二人が怒りだしたので、冗談ではないのだと気づいた次第。混乱しきった僕は、旅行の間中、本当にそれほど長い間洞窟の中にいたのかと質問し続けました。本当とは思えなかったのです。
今もなお僕はこのできごとによく思いをはせ、折に触れて友達と話し合います。これは自分が体験したできごとの中で最も奇妙なものの一つです。つじつまを合わせることができません。