1988 年、ノースカロライナ州の田舎町・ラザフォードトンに住むデイビッド・ヘイルという名の若者は、失業中で、職を探していた。地元の職業紹介所から雇用者のリストを手渡されたヘイルは、面接を受けるために、ある会社に向かって車を発進させた。だが途中で道に迷い、未舗装の道路を運転する羽目になった。自分がどこにいるのか見当がつかなかった。
目的地は近いはずだと確信していたが、目に映るのは左手に広がる野原と右手の森だけ。あてどもなく走っているうちに、数百メートル先で道が左折しているのが見て取れた。
ちょうどそのとき、反対方向から別の車が走ってきた。その車は年代物の中古車のように見えたが、スピードを出し過ぎていたので、曲がり角でコントロールを失い、道から外れて野原に突入! 激しい衝突事故のようには見えなかったが、その時点でヘイルの頭に浮かんだのは「あの男はクラシックカーを壊した」という考えだった。
スピードを落とし、衝突現場で停車。驚いたことに野原には何も見つからなかった。だが、こんなところで悠長に時間をつぶしている暇はない。周囲をざっと見回した後、約束の時間に間に合うことを願いながらそのまま道を進んでいった。
何とか会社にたどり着いたヘイルは面接を受けた。終了後、帰宅の途についたのだが、謎の自動車事故のことを頭から追い出すことができなかった。もう一度事故現場を確認しようと、元来た道をドライブしていった。やがて事故を目撃した曲がり角に到着したのだが、不可解なことに砂利道はきれいに舗装されていた。
そして今回は事故車を見つけた。その車は 1940 年代のモデルだったが、何年も野原に放置されているように見えた。塗装は剥がれ、タイヤは腐っていた。デイビッド・ヘイルは、我が身に何が起こったのかさっぱり分からず、首をかしげるばかりだった。ひょっとして彼は、道に迷ったのではなく、時間に迷い、40年代に起きた事故を目撃したのだろうか?