これはアメリカの男性テディさんの体験談です。
僕はイラン系アメリカ人です。僕がまだ幼かったころ、祖母はイランからアメリカに移住しました。というのも、両親がフルタイムで働いていたため、孫(姉と僕)の子育てを手伝うために移住したのです。祖母はトルコ珈琲占いが得意でした。
両親は折に触れて友人を自宅に招き、夕食会を催していました。その際、気軽な娯楽として、祖母に占いをしてもらいました。でも、深刻な事態に発展してしまったことが二度ほどありました。
一度目は、15年ほど前、父の同僚の一人が婚約者を連れてやって来た時のことです。その同僚(仮にフランクとしましょう)は、祖母の占いのことを聞き、実際に占ってもらいたいと思ったのです。婚約者の隣に座ったフランクは、小さなカップのコーヒーを飲み、祖母はカップの底に残ったコーヒー粉の染みを調べました。そして、隣に座った父に、フランクには二人の女性がいると、ペルシャ語で告げました。父は愚かにもその言葉をそのままカップルに伝えてしまい、大騒ぎになりました。
フランクはショックで口をあんぐり開けて座っていました。婚約者は激怒しました。フランクに向かって「あなたがジェシカという名の女と関係を持っていることは分かっていたわ! 私たちはもう終わりよ!」と叫び、婚約指輪をフランクに投げつけ、家を出て行きました。フランクは呆然とキッチンに座っていました。フランクは、婚約者がいたにもかかわらず、元カノとつきあっていて、祖母がうっかりそれを指摘してしまったのです。
2つ目の話は、父の別の同僚に関するものです。その同僚(ポールと呼ぶことにします)の妻はなかなか妊娠できませんでした。医師から、何らかの理由で子供を産めないと告げられていました。
そんなわけで、ポールが妻と一緒にやって来て、妻がコーヒーを飲み、祖母はしばらくカップの底を眺めていました。そして父に、二人にはもうすぐ子供ができると伝えました(祖母は妻がなかなか妊娠できないことを知りませんでした)。
次に、祖母の声が緊張しているかのように震え始め、父の耳元で何かをささやきました。父は首を横に振り、「母の体調が悪いので、占いは短く切り上げなければならない」と告げました。2人は礼を言って立ち去りました。
祖母はカップの底に死/悲劇を見て、ポールの妻が出産で亡くなるだろうと父に告げていたのです。悲しいことに、まさにその通りになりました。1年後、ポールの妻は奇跡的に妊娠し、女の子を出産した後、悲劇的に亡くなりました。ポールは妻の死から立ち直ることができず、死後まもなく引っ越していきました。
個人的には、この2つの話は偶然の一致だと考えています。少なくとも僕は偶然だと思っています。未来予知のような才能を持つ人がいるという考えは、僕にはとてつもなく恐ろしいものなのです。