タイムトラベラー(時をかける少女)

■放映日:1972年1月1日〜2月5日 毎週土曜18時05分〜35分
■製作国: 日本
■原作者: 筒井康隆
■脚本: 石山 透
■音楽: 高井達雄
■主演者:
島田淳子 ... 芳山和子
木下清 ... 深町一夫
城 達也... 語り
中学三年生の芳山和子(島田淳子)は人気のない放課後の理科室で、フラスコに入ったラベンダーの香りがする液体の匂いを嗅ぎ、タイムトラベルする能力を身につける。その液体を作ったのは謎めいた男子生徒・深町一夫(木下清)だった。
筒井康隆原作の小説『時をかける少女』をNHKが『少年ドラマシリーズ』の記念すべき第一作としてテレビドラマ化。残念ながらNHKではこのドラマを記録したテープが残っていないそうです。ある視聴者が最終回を録画したテープを持っていたので、それを最新の技術でリマスターしたのだそう。従って、残っているのは第6回(最終回)のみで、これが発売中のDVDに収録されています。ただし、第1〜5回の音声は保存されているので、これがDVDに収録されており、大体のあらすじは追うことができます。
というわけで、このシリーズは今や誰も見ることのできない「幻の名作」となってしまいました。しかし、このドラマがきっかけとなって、その後何度もテレビや映画でこの小説がリメイクされています。そればかりか、原作から20年後の世界を舞台にしたアニメ映画や、芳山和子の娘を主人公にした次世代の『時かけ』映画が作られるなど、その人気は衰えることがありません。すべてはこの『タイムトラベラー』から始まったのであって、本シリーズが作られなかったら、今ごろ原作の小説は廃刊となり、世に埋もれていたのかもしれませんね。
各回の冒頭で扉がギーッという音とともに開くと、そこには語り手の城達也が椅子に座っています。物語の前に、実際に起こったタイムトラベルなどの不思議な話が城氏によって語られます。
1.ラベンダーの謎
実話:1803年3月24日、今の茨城県の海岸に奇妙な形の船が流れ着き、そこには誰も見たことのないようなおかしな服を着た女が一人乗っていた。ひょっとして、この女はタイムトラベラー……?
あらすじ:中学3年の芳山和子は放課後の理科室でフラスコに入った液体の匂いを嗅ぎ、翌日の朝にタイムトラベルする。外は銀世界で、少年たちが雪合戦をしていた。雪玉が窓ガラスに当たって割れ、そのそばにいた和子の級友が怪我をしてしまう……
2.ケン・ソゴルの謎
実話:1901年8月10日、ベルサイユ宮殿を見物中の二人の女性が別世界に出てしまう。あたりの人々は中世の衣装を身につけ、マリー・アントワネットが二人の方に向かって歩いてくるのを確かに目撃したという……
あらすじ:和子は担任の福島先生に連れられて大学病院を訪れ、そこで脳の検査を受けさせられそうになるが、恐れをなした彼女は逃げ出し、その途中で1年前にタイムトラベルしてしまう……
3.テレパシーの謎
実話:1832年12月3日の夜、フィリピンの男性が息子の悲鳴を聞き、部屋にかけつけたところ、息子は壁の中に消えかけていた……
あらすじ:和子は一夫に会うため、深町家を訪ねるが、応対に出た母親とおぼしき女性の話によると、その家に息子はおらず、夫と妻のふたり暮らしだという。その夜、自室にいた和子に深町一夫がテレパシーで話しかけてきた。一夫の話によると、彼は700年後の未来からやってきた未来人で、本名はケン・ソゴルだという……
4.トカリベツの謎
実話:1915年4月13日、トーマス・エジソンの家に見知らぬ男が訪ねてきた。この男の話によると、彼は何でも見通してしまうという。そこでエジソンが厳重な環境でこの男をテストしたら……
あらすじ:ケン・ソゴルが再び和子にテレパシーで連絡してくる。今は1月なのに、ケンは8月の北海道・トカリベツにいるという。今彼は危機的な状況にあるので、ラベンダーを持ってきてほしいというのだ。でも、8月の北海道にどうやって行けばいいのか? 和子が調べたところ、トカリベツは羊蹄山のふもとにあり、その辺でラベンダーが栽培されていることがわかった……
5.タイム・ルールの謎
実話:1932年、アメリカでレアード型という複翼機が見たこともない飛行機と接触、墜落し、その飛行機は格納庫にしまわれた。それから28年後、まったく同じ場所で、軽飛行機がひどく古い型の複翼機と接触、緊急着陸した。念のため、格納庫にしまわれているレアード機を調べてみたら……
あらすじ:和子とケン・ソゴルはトカリベツから無事に戻ってくる。ケンは大学病院で特別の実験室を与えられ、タイム・トラベルの薬を調合し始める。この薬が完成すれば、ケンは700年後の未来に戻ることができる……
6.タイム・エネルギーの謎
実話:1951年8月4日の明け方4時ごろ、英仏海峡に臨むフランスの町に住んでいた女性が騒々しい音で目を覚ました。それは機関銃や大砲を打ちあう音・急降下する飛行機の音など、戦争を思わせる音だった。あまりの恐ろしさに彼女がパリにいるおじさんの家に電話したら……
あらすじ:ケンはタイムトラベルの薬を合成することに成功する。ところが、ある掃除婦がその液体の匂いを嗅ぎ、消え失せてしまう。その女性は戦時中に娘を肺炎で亡くしたことを苦にしていた……
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・小学生の頃、とっても大好きで、特に、深町君役の木下清さんが大好きでした。その後、テレビ探偵団という番組があって、タイムトラベラーをもう一度見れたらなと思ったのを思い出します。日本中で、私と同じような思いの人がいるのを知って嬉しいです。NHK少年ドラマシリーズは最高でした。タイムトラベラーのすべてのDVDがあったらいいのにね。深町君役の木下清さんを今、映像で見ても胸がきゅんとします。
水谷 りいさん(2014年9月7日)
・小学校低学年の頃、初めて時間の流れの中を行き来するという概念を知りました。またSFとは学級文庫や図書館にあったジュール・ベルヌのような作品しか知らなかった自分にとって、読書の面白さを教えてくれた作品(ドラマ)でした。あれから30数年「時をかける少女」は今でも座右の書になっています。
ジークフリートさん
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