あらすじ
英・サウスロンドンに住む普通の人々が超能力(タイムトラベルとテレポート、テレキネシス、超高速移動、怪力、透明人間)を予期せず発現するようになる。彼らには2つの共通点があった。1つはアフリカ系人種であるということ、もう1つは家族に鎌状赤血球障害を患う者がいるということだった。彼らの能力を利用しようとする邪悪な組織に狙われる中、5人は一致団結して立ち向かい、愛する人と世界を守らなければならない。
レビュー
「普通の人々に超能力が出現」「邪悪な組織に狙われる」「愛する人を救うためにタイムトラベル」……これらはどれも使い古された感のあるテーマだし、一世を風靡したスーパーヒーローブームも下火になりつつあるので、本作にはあまり期待していなかったのだが、第1話を視聴したら、意外にも話に引き込まれた。
予想に反して本作から新鮮な印象を受けたのは、主要なキャラクターが全員アフリカ系だということもあるのだろう。本シリーズの創案・脚本・監督を手掛けたラップマン(本名:アンドリュー・オンウボル)はイギリスの有名なラッパー。ストーリーテリングに長けたラッパーの才能がドラマ創りに応用されているようだ。
タイムトラベル能力を持つ主人公のマイケル(トシン・コール)は宅配便の配達員。婚約者にも恵まれて、順風満帆な人生を送っているが、その他の超能力者は、浮気性の恋人を持つ女性の看護師、ギャング団の親分、麻薬の売人、解雇され借金を負ったサラリーマンで、毎日が苦闘の連続。彼らの過酷な日常が現実味たっぷりに描かれる。
主演のトシン・コールは『ドクター・フー』で13代目ドクターのコンパニオン役を演じた俳優。『ドクター・フー』に出演していた時の彼は、居心地が悪そうというか、影が薄いというか、やる気や覇気が感じられなかった。これはあくまでも私が受けた印象に過ぎないのだが、『ドクター・フー』引退後、彼は一切同番組に出演しておらず、60周年記念特番にさえ顔を見せなかったので、あながち私の印象は間違っていなかったのかもしれない。それに対してこのドラマでは、違和感が一切なく、役にピッタリハマっているように思える。主役としての貫禄も十分だ。
シーズン1を見終えた。今季は要するに5人のヒーローたちが団結するまでの過程を描くオリジンストーリーというところか。個人的に第二話はイマイチと感じた。というのも、この回はギャング団の縄張り争いが話の中心になっていて、あまり興味をかきたてられなかったので。だが、それ以外の回はどれもおもしろく、特に最終話(第6話)は意外な展開が続出し、大いに盛り上がった。この作品はネットフリックスで大ヒットしたようなので、シーズン2が作られる可能性は高いのではないか。「スーパーヒーローものはもう飽きた」と思っている人にお勧めしたい。