眉村 卓(まゆむら たく)
眉村卓(まゆむら たく 1934年〈昭和9年〉10月20日 – 2019年〈令和元年〉11月3日)は、日本のSF作家で、特に「未来の叙情詩人」として知られています。本名は村上卓児(むらかみ たくじ)。
大阪市に生まれ、主に未来や異世界を舞台にした作品を多く手掛けました。彼の作風は、社会的なテーマや人間の本質を繊細に描き出す点に特徴があります。
主な作品として、『ねらわれた学園』や『司政官シリーズ』などがあります。『ねらわれた学園』は後にアニメ化や映画化され、特に若者の間で高い評価を得ました。また、彼の短編集は日常の中の非日常を描き出すもので、哲学的な問いかけを含むものが多いです。
眉村卓は、文学的SFというジャンルにおいて日本を代表する作家の一人であり、彼の作品は今でも多くの人に愛されています。
眉村卓の時間SF作品
時のオデュセウス
系列組織化された情報産業に反抗し、自由人の道を進もうとする孤独な作家の絶望を描く『サロンは終わった』高度産業社会の有能な走狗を養成する学校に入学した若者の苦悩と挫折の物語『産業士官候補生』時間旅行に託して自由社会と管理社会の相克を衝く表題作など、著者が本領を遺憾なく発揮した最新作14編を収録する新短編集!
文庫:時のオデュセウス
美しい城下町に引っ越してきた和田行夫は、静かなこの町がどこかおかしいことに気づく。新しい学校も、生徒はみな異常に優秀で、雄々しいのだ。しかも超常現象としか思えないことがあたりまえに起こっているのにだれも気にしない……。落ちこぼれ扱いされ、孤立した行夫が限界を感じはじめたとき、「鬼の日」という祭りの存在を知る……。
1975年
還らざる城
タイム・マシンによって、敏夫少年は戦国時代に逆もどりしてしまった。豪族と野武士、さらに農民との三つどもえの血みどろの戦いの中で、少年が体験したものは、人間の征服欲の醜さだったが、はたして、現代にかえる手段はあるのだろうか?
文庫:還らざる城
1976年
ねらわれた学園
突如、阿倍野第六中学の生徒会長に立候補し、鮮やかに当選してみせた高見沢みちる。それまで目立たない存在だった彼女は、魅力的な微笑と不思議な力で学園を支配していく。美しい顔に覆い隠された彼女の正体と真の狙いとは?
1970~1980年代に大ブームを巻き起こし、幾度も映像化されてきた日本ジュブナイルSFの金字塔。
思いあがりの夏
『島から来た男』『名残の雪』『”あした”のために』『思いあがりの夏』『子供ばんざい』の5作が収録された短編集。幕末にタイムスリップした青年を描いた『名残の雪』は NHK 少年ドラマシリーズ『幕末未来人』『幕末高校生』の原作。
文庫:思いあがりの夏
直也と孝次の二人が気づいたとき、そこは先ほどまで居た倉庫の中ではなく、びっしりと生い茂った森の真只中だった。そして、二人の前に現れたのは、粗末な衣服を身につけて、弓や日本刀を手にした男たち・・・。ここは恐らく江戸時代だ。
そして先ほど倉庫にあった機械は、転送装置だったに違いない。二人は異様で、のっぴきならない世界に飛び込んでしまったことを知った! 異次元で行われる激烈な争いに巻きこまれた二人の少年の冒険を描く、SFスリラー!
文庫:白い不等式
眉村卓の異世界物語: トリビュート作品集
異世界との通信を試みてからもう一年が過ぎました。そろそろリプライが返ってくるころではないか。そう思っていた委員会のもとに、意外な真相が明らかにされます。なんと、その返信は時を超え過去に遡り、われわれの遺伝子配列に書き込まれていたのです。
眉村卓の作品や世界観に敬意を表し、設定や物語、あるいは雰囲気、イメージを共有するオリジナルの小説を集めたアンソロジー。
ペーパーバック:眉村卓の異世界物語: トリビュート作品集