一面のスイセン

愛犬をつれて自宅近くの森に行った女子高生が、それまで見たことのない光景に出くわして……

これはアメリカの女性、Nさんの体験談です。

これは不気味な話ではなく、むしろ幸せな気持ちにしてくれる、そして説明のつかない話です。

このできごとは1999年ごろに起こりました。当時、私は高校生。携帯電話はまだ普及していませんでした。スマートフォンを持っていたら写真を撮れたのに、と残念でなりません。とはいえ、こんな思いが心の片隅にあることも確かです。もしあのときカメラを持っていたら、この経験をすることが「許されなかった」かもしれないと感じているんです。

当時、家の近くの森で愛犬を散歩させるのが常でした。毎日のように足を運んでいたので、中がどうなっているのかをよく分かっていました。

ある日、森の真ん中で、これまで見たことのない場所を見つけました。巨大な野原のような広大な空き地が森の中にあったのです。そこは一面、黄色いスイセンで覆われていました。私はその美しさに魅了され、まるで魔法のようなものを目撃しているかのように、畏敬の念に打たれていました。愛犬は大喜びで、咲き乱れる花の中ではしゃぎ回っていました。周りに誰もいなかったので、まるで自分だけの体験だったような特別な気分でした。

次の日にまたそこに足を運びました。ところが、探しても探しても、その空き地はおろか、一輪のスイセンも見つかりませんでした。

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