防犯カメラがタイムトラベラーを撮影?

米フロリダの住宅の裏庭にタイムトラベラーが侵入? 納屋の中にポータルが? 謎が謎を呼び、主要メディアも取り上げる騒ぎに!
2024年4月末、アメリカ・フロリダにある住宅の裏庭で一連の奇妙なできごとが発生、その模様は防犯カメラによって記録された。住宅の所有者がこの動画を TikTok にアップしたところ、タイムトラベルに関する熱烈な議論が巻き起こり急速に拡散、主要メディアにも取り上げられる騒ぎに発展した。
住宅の所有者であるアレック・シャールさんは、この住宅を airbnb (民泊サービス)用の物件として使用しており、ここには住んでいない。この住宅から車で5時間離れたところに住んでいる。アレックさんは一連のできごとを防犯カメラを通して目撃した。
Airbnb(エアビーアンドビー)、通称エアビーとは、世界191カ国以上で利用されている画期的な民泊サービス。 空いている部屋や使っていない家を収入源に変えたいホスト(民泊運営側)と、ホテルではなく個性的な宿泊体験を求めるゲスト(宿泊者)を結びつける役割を果たしている。
@alecschaal

Replying to @Dmonynet Update on the time traveler that disapeared. Whats going on? 😭

♬ Spooky, quiet, scary atmosphere piano songs – Skittlegirl Sound

4月26日午後2時37分
不審な男が裏庭の門から侵入してきた。男は何かを探しているようなそぶりを見せ、一度悪態(くそっ!)をついている。だが、すぐに目的のものが見つかったようで、午後2時38分に納屋の錠を外し、中に入っていった。この納屋の中には洗濯機と乾燥機が設置されている。出入口は一つだけで、窓はなく、床にはコンクリートが敷かれている。
不審者の侵入に気づいたアレックさんは防犯カメラのマイクを通して、「何やってる? なぜ僕の納屋に入った?」などと話しかけたが、男から返事はなかった。
4月26日午後3時24分
男がいつまで経っても納屋から出てこないので、アレックさんは警察に通報した。警察官が来るまでの間、防犯カメラを通して納屋を注視していたが、誰も出てこなかった。
3時24分に警察官がやってきて、裏庭を捜査した。アレックさんは防犯カメラのマイクを通して納屋の中を見るよう依頼、警察官はその求めに応じたが、納屋の中に人はいないと報告した。アレックさんは「お時間を無駄にしてすみません」と謝罪、警官たちは裏庭から出て行った。
つまり、納屋に入った男が忽然(こつぜん)と姿を消したということだ!
なお、この防犯カメラには人感センサーが搭載されているので、人の気配を察知したら、すぐに録画が始動するようになっている。
4月27日午後5時23分
翌日、事態はさらに奇妙な展開を見せた。午後5時23分に男が納屋から出てきたのだ! しかし、その男は前日に納屋に入っていった男ではなかった。年配の男性で、白髪、服装も違っている。だが、2人の男は、髪型や顔の造り、歩き方などが似通っている。まるで前日の男が年を重ねたように見える!
白髪の男は、まるでカメラに撮られていることを知っているかのように、カメラの方に視線をちらっと投げかけ、表門から出ていった。

その後、男が裏庭に現れることはなかったのだが、新たな事実が判明、謎はさらに深まっていった。

マティ・アイスさん
アレックさんの動画を見て興味を持ったアメリカの男性、マティ・アイス(ハンドル名)さんが、小屋から出てきた年配の男性を逆画像検索したところ、そっくりな人物が見つかったのだ。彼の名前はスティーブン・アルバート・ミラー。下の画像を見れば分かる通り、2人は酷似しており、同一人物であることに疑いはなさそうだ。
スティーブンさんは1949年8月17日生まれで、小屋から出てきた時点での年齢は74歳。アメリカの名門ハーバード大学の出身。しかも同氏はタイムトラベルに興味を持っていた。なぜそのことが分かったのかというと、クオラ(Quora)というアメリカの質疑応答サイトに登録しており、このサイトでタイムトラベルに関する質問をしていたからだ。質問の例を下に挙げておく。
・最初にタイムトラベルしたときよりも前の時間にタイムトラベルすることはできないと、よく言われています。なぜそうなるのでしょう?
・4次元領域は、もし私たちがそれを見ることができたら、どのように見えるでしょうか。4次元空間を「視覚化する」方法を言っているのではありません。たとえば、私たちの目の前に 4 次元の空間、または存在、または人工物があったら、何が見えるでしょうか。その次元の最初の 3 つは私たちの次元に対応し、追加の 1 つは私たちが使用している/知っている次元に追加されるものなのでしょうか。
ここから謎はさらに深まっていく。なんとスティーブンさんは2018年7月13日に死亡していたことが明らかになったのだ! しかも、彼が死亡するほぼ1年前の2017年7月20日に、ドミニク・レグーという名の男性が、追悼記事を TikTok に投稿していた! なお、下の訳の中で意味不明な箇所がある。それは「最も豊かな水場(waterhole)」という表現。Waterhole の訳を俗語辞典も含めていろいろ調べてみたのだが、どうしても意味が分からなかったので、やむを得ず、「人」と訳しておいた。
「私が今まで出会った中で最も心が豊かな人は、1949年8月17日生まれのスティーブン・アルバート・ミラー氏でした。ニューメキシコ州核監視ウェブサイト編集者であった彼は、作家、芸術家、先見者、音楽家、哲学者、活動家として活躍、ニューメキシコ州サンタフェで2018年7月13日に亡くなりました。」
なぜスティーブンさんが亡くなる1年前に追悼記事を投稿したのか? なぜ死亡日を正確に言い当てられたのか? 謎は深まるばかりだ。
ちなみに、ドミニクさんは、2018年11月27日にも、スティーブンさんの追悼記事を TikTok に投稿している。死後4か月後のことだ。その訳は下記のとおり。
「最愛のスティーブへ。あなたが亡くなったと知り、とても悲しいです。あなたを心の中で抱きしめています。ぎゅっとね。またすぐに会いましょう。愛を込めて、あなたのドミより」

上の追悼記事にもあるように、スティーブンさんはニューメキシコ州・サンタフェに住んでいた。サンタフェはフロリダから遠く離れている。だが、マティさんの調査の結果、スティーブンさんは2000年2月から2005年11月まで、フロリダ州・サラソタに住んでいたことが判明した。彼はフロリダの小屋からそれほど遠くないところに住んでいたのだ!

このようにマティさんは今回のタイムトラベル事件を精力的に調査していたのだが、最近態度が180度変わり、「もはや私はこれが、タイムトラベラーがビデオに記録された事件だとは信じていない。ありふれた麻薬取引に過ぎない」と一蹴するようになって、事態は再び急転した。
この突然の口調の変化は、彼のフォロワーの間でさらなる陰謀説を巻き起こした。マティさんはおそらく政府の圧力を受けて、自分の発見を否定するように強要されたのではないかと推測する者もいる。ある投稿者は「助けが必要な場合は2回瞬(まばた)きしてください」とさえコメントした。そんな中、マティさんは「彼(アレックさん)のフォロワーの1人は CIA の工作員だ。フーム」と意味深な言葉で話を結んでいる。



ここで一連のできごとを時系列順にまとめてみよう。
2017年7月20日:ドミニクさんが、スティーブンさんの追悼記事を投稿
2018年7月13日:スティーブンさんが死去
2018年11月27日:ドミニクさんが2度目の追悼記事を投稿
2024年4月26日:謎の男性(若いころのスティーブンさん?)が小屋に侵入
2024年4月27日:年をとったスティーブンさんが小屋から出てきた
このように、時系列がゴチャゴチャになっている。

タイムトラベル説がオンラインで渦巻く中、小屋から出てきた年配の男性と作家のスティーブン・キングの類似点を指摘したコメント投稿者もいる。興味深いことに、キングは『フェアリーテイル』と題された小説を2022年に出版している(邦訳版はまだ出ていないようだ)。この小説は異次元に通じるポータルが納屋の中に存在するという設定になっている! そのため、この事件全体がキングの本の手の込んだ宣伝活動ではないかという憶測も出ている。

これらの突飛な説や憶測の中で、真実はつかみどころがない。単なる人違いだったのか? 麻薬取引? 巧妙なでっちあげ? それとも本当にタイムトラベルの真の例なのだろうか?