これはアメリカ・ミシガン州に在住の男性・ジェームズさんの体験談です。
これは僕が6歳のころに起こったできごとです。
当時、僕の家族は山小屋を所有していました。ある日、家族そろってその山小屋に出かけました。冒険心旺盛な兄は一人で森を探検しに行きました。僕はいとこが来るのを待っていました。いとこと一緒に水泳に行くつもりだったのです。そうこうするうちにいとこの家族が到着したので、水泳に行こうとしたら、そこに兄が戻ってきました。
「森はどうだった?」と尋ねたら、兄は「よかったよ。木にポータルがあったよ」と言いました。当時僕たちはテレビでスーパーヒーローのアニメを見ていたので、僕たちにとってポータルは変なものではなかったのです。
「そりゃーすごいや! 場所を覚えてる?」
「うん、覚えてるよ!」
というわけで、翌日、みんなで森に出かけました。問題の木の前で待っていたら、そこにポータルが現れました。さまざまな色が渦巻いて、本当にすごい光景でした。そこに松ぼっくりを放り入れたら、ポータルの中に吸い込まれていきました。石を投げ入れたら、木の中で跳ね返り、飛びまわっていました。松ぼっくりはいくつでも放り入れられるような感じでした。
しばらくポータルを見学したあと、山小屋に帰りました。
その夜、眠りについていた時のことです。僕は寝室を兄と共有していました。部屋の両側の壁に二つのベッドが置かれていたのです。深夜、ふと目を覚ましたら、兄と思われる人物がベッドの上に立って僕をじっと見つめていました。部屋の中は暗かったので、影のようなものが見えただけなのですが。
僕は兄が悪ふざけをしているのだと思い、ベッド脇の机の上に置いてあったコーヒーの空き缶をつかんで、兄に向かって投げつけてやりました。そうしたら、その影はフッとかき消えてしまったのです! 次の瞬間、兄が寝返りを打ったので、完全にビビってしまいました。
それから2、3年が経ち、僕は母と一緒に例の山小屋に出かけました。兄は友達の家に泊まっていたので、同行しませんでした。ポータルのことを思い出した僕は、一人でそこに行ってみることにしました。
森の中に入っていき、しばらく歩いた末に、問題の木が見えてきました。そこには子供が一人立って、ポータルを見ていました。僕はその子と友達になろうと思い、肩に手をかけました。振り返ったその子は……何と自分だったのです! 着ている服まで同じでした。
僕は振り返って一目散に逃げました。それ以降、そこに行ったことは一度もありません。
ポータルが各地に存在することは知っていましたが、まさか自身と遭遇するとは驚きで、肩に手を置いたと言うことは実体のあるドッペルゲンガーと考えれば良いのでしょうか?ポータルがずっと同じ場所にあると考えたこともなかったのでびっくりしました。
松ぼっくりや石を放り投げたシーンが、子供の頃に読んだ星新一のボッコちゃんの「おーいでてこい」を思い出してしまい、どことつながっているのか、想い馳せました。