『ドクター・フー』ドットとバブル(仮題)レビュー

製作国:イギリス
原題:Dot and Bubble(『ドクター・フー』シーズン1第5話)
監督: ディラン・ホームズ・ウィリアム
脚本: ラッセル・T・デイヴィス
出演者:シュティ・ガトワ、ミリー・ギブソン、キャリー・クック、ほか
配信開始日:2024年6月1日
時間:43分32秒

あらすじ

ファインタイムは、近隣の惑星から来た裕福な若者たちが住む、のどかで美しい都市。リンディ・ペッパービーン(キャリー・クック)はそんな若者の一人だ。彼女たちは、ソーシャルメディアの仮想空間・バブルに没頭して毎日を送っている。ある日、リンディのコンタクトリストに、2 人の見知らぬ人、ドクター(シュティ・ガトワ)とルビー(ミリー・ギブソン)がハッキングしてきて、ファインタイムの住民が恐ろしい危険にさらされていると警告する。実際、リンディは何人かの友人が最近行方不明になったことを漠然と認識していた。リンディは快適なバブルの世界から抜け出し、現実世界に侵入しているモンスターに立ち向かうことができるだろうか?

レビュー

人種差別とソーシャルメディア依存を痛烈に批判した問題作

本エピソードのタイトル『ドットとバブル』のドットは、空中に浮揚する小型の球体ロボットのこと。このドットは、所有者の頭の周りにドーム状の仮想空間を作り出す。人はこの仮想空間に映し出されるSNSで友達と楽しくコミュニケーションすることができる。さらに、サテナビの機能もあり、自分の目で行先を見なくても、指示に従って歩を進めていくだけで目的地に到着する。ファインタイムの住人は全員このテクノロジーに100%依存しており、バブルがなければ歩行することもできなければ、トイレに行くことさえできない。仮想空間上に主治医が登場し、「膀胱がいっぱいになったのでトイレに行ってください」と指示する!

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このエピソードがソーシャルメディアの短所や人種差別の愚かしさを痛烈に風刺していることは明らかだ。ファインタイムの住人たちはバブルの中でぬくぬく快適な毎日を送っているので、すぐそばにおぞましいナメクジの化け物がいても気づかない。この化け物は、ハエトリグサ(食虫植物)のように人を捕獲し、生きたまま食する。「クチャクチャ」という咀嚼音の特殊効果がまた気持ち悪い! パステルカラーで統一された衣装やインテリアと、身の毛もよだつような怪物の対比は強烈! この怪物、CGかと思ったのだが、実は着ぐるみだそう。CG全盛の世の中で、あえて手作りに臨む意気込みには感心する。


BBC

これも前作同様「ドクターの出番の少ないエピソード」で、ガトワとギブソンは主として仮想空間上の映像として登場、最後の方に姿を見せるが、正直出番が少ないようには感じられず、むしろ新しい演出手法であるかのような印象を受けた。SNSの特殊映像もスマートで美しく、将来こんな技術が開発されてもおかしくないと思わせた。

本作のように愚かなキャラクターが登場する作品は大概お決まりの結末を迎えるものだが、このエピソードは完全にそんな型を破っている。その結末はインパクト大で、脳裏に焼き付けられた。あのラストシーンを忘れることは決してできないだろう。

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