これはアメリカの男性、ジェームズさんの体験談です。
このできごとが起きた時期は明確に覚えていません。多分、80年代初頭のころだったと思います。この話は、当時僕が務めていた職場の上司から聞きました。雇い主の名前はマイク。彼は101期のパラシュート部隊に属していた元落下傘兵でした。その時、彼は他の退役軍人たちと一緒にいました。言い換えれば、彼らはちょっとやそっとのことでは怖気づかない男たちだったのです。
マイクと数人の友達はジョージア州南部の農場にある空き家を農夫から借り、鹿狩りを楽しんでいました。この農場の周りは森林地帯になっていました。狩をするとき、彼らはいつも離れ離れになりました。それぞれの男が鹿を待つための場所を持っていたのです。
マイクはたそがれ時に小屋に戻ってきました。その時、二、三人の男はすでに小屋にいました。数分後に残りの二人が帰ってきた時、彼らはとてもビクビクしていました。退役軍人で狩人の屈強な男たちがビクついていたのです。当初、二人は何が起きたのか話したがらなかったのですが、プレッシャーに負けて次の話を語りだしました。
夕暮れになったので、二人はそれぞれ小屋に戻ることにしました。まだ光は残っていたので、道を見ることができました。ある地点で二人は合流し、おしゃべりをしながら家路につきました。
突然、大木の陰から二人の真ん前に人が現れたのです。その人物と二人の間の距離はせいぜい3メートルぐらい。二人は誓ってこう言いました。その人は銀色の宇宙服を着て、ヘルメットをかぶった宇宙飛行士だったというのです。
二人の狩人は立ち止まり、目の前の人をまじまじと見つめました。「宇宙飛行士」もまた立ち止まり、二人を見返しました。その状態で、少なくとも15秒から20秒が経ちました。次に「宇宙飛行士」は向きを変え、大木の陰に移動。二人は自分が見たものに仰天し、5秒ほど動くことができませんでした。
次に二人は勇気を奮い起こし、ライフルを発射できる状態で木に駆け寄りました。木の陰を見たら、そこには誰もいませんでした。草木や枝が密生していたので、足を踏み入れた人は枝をかきわけて進まなければならず、やすやすと歩みされなかったはず。たった5秒の間に視界から消えることは不可能でした。でも、その「宇宙飛行士」のような人は消えてしまったのです。
二人の男は小屋まで走って戻りました。この話を語り終えたあと、二人は友達から散々からかわれましたが、マイクの話によると、その夜二人はライフルをそばに置いて眠りについたそうです。
翌朝、彼らはみんなして「宇宙飛行士」が現れた場所を点検しに行きました。でも、痕跡は見つかりませんでした。足跡もなければ、枝や草木が曲がったり、折れたりしている場所もありませんでした。たとえこれがいたずら者の仕業だったとしても、彼が身を隠せられるような場所は、地上にも、木の上にも見当たりませんでした。