昨日、本当に恐ろしい体験をしました。僕は通常、この種の話には非常に懐疑的なのですが、この件については途方に暮れています。
僕は大学生なのですが、講義が終わった後は徒歩で帰宅しています。いつも通る道はきちんと舗装されていて、たくさんの木々と田舎の家が数軒ある以外は、だだっ広い野原のような場所。普通は午後5時ごろ家に着くのですが、昨日は教授が1時間遅刻したのみならず、講義の時間が30分延長したので、家に着いたのは午後6時ごろでした。
嵐の日だったので、すでに暗かった。独りで帰宅したのですが、家々の裏側を通り過ぎたときに不気味な気持ちになりました。古びて荒れ果てた店がたくさんあり、その地域全体が貧困に陥っているように見えました。周りには人っ子一人いませんでした。木々にとまった鳥のさえずりさえ聞こえなかった。
両親は心配性なので、僕がこんなに遅く帰宅すると、何か悪いことが起こったと思って警察に電話をかけてしまうんです。そんなわけで、帰宅が遅くなったことによるストレスで少し頭がおかしくなっただけだと自分自身に言い聞かせました。
野原の真ん中を歩く間に太陽は沈み始め、あたりはさらに暗くなっていきました。10分ほど歩いていると茂みからカサカサという音が聞こえ始めましたが、そこには誰もいませんでした。後ろを振り返ったのですが、何もありません。
それから振り返ると……オタクっぽい男がすぐ隣に立っていて、僕と向き合っていました! 大きな眼鏡をかけたその男は顔色が青白く、痩せ型で、黒い頭髪はツンツンにとがっていました。ひどく場違いな感じ。僕から100メートルくらい離れていました。
顔からサーッと血の気が引いていくのが感じられました。この男がここにいるはずがありません。足音も聞こえなかったのだから! 彼はじっと僕を見つめるばかりで、息をしているかどうかさえ定かではありませんでした。
耐えがたくなり一瞬目をそらしたら、その機に乗じて男が飛びかかってきました! 足や太ももを僕の首に巻き付け、息ができなくなるまで首を締め付けました。およそ1分間もずっと締めつけられたので、視界が悪くなり、一巻の終わりだと思いました。自分は強い男だと自負しているのですが、あり得ないほどの力で締め付けられ、どうしても足を引き離すことができなかったんです。
次の瞬間、彼は消え失せました! 道に横たわった僕は、気を失う寸前で、ゴホゴホ咳をするばかりでした。
男はただ消え失せてしまったのです。音も立てず、派手な閃光もありませんでした。昨夜は眠れない夜を過ごしました。一体全体何が起きたのか知りたいという思いでいっぱいです。